All you need is black earphone (?)

あたまのわるい音楽ブログ

2023年聴いた中で印象に残ったアルバム5つ

今年聴いた中で印象に残ったアルバム5つについて書きます。
この文章はtanoshii.site Advent Calendar 2023の25日目の記事にしようと思っています。

ワーストセレクション / はなとゆめ

「はなとゆめ」というバンド?ユニット?が90年代にいまして、そのベストアルバムです。
殺害塩化ビニールというインディーズレーベルから発売されてましてレーベルをご存じの方はもうあぁ……って感じだと思いますが、殺害塩化ビニールというレーベルは有り体に言うと悪趣味な歌詞を悪趣味な曲に載せて歌いまくる「猛毒」というバンドのフロントマンがやっているレーベルで所属バンドもだいたいそんなのばっかというしょうもないレーベルです。
具体的にはラサイトのフラッシュ「クルムア」で使われていた「はたらくくるま」の原曲を歌っているのが猛毒です。

で「はなとゆめ」の話なんですがカシオトーンのチープな演奏の上でヘボい声の男たちがド下手な合唱で「老婆は立ち上がり叫ぶ「農家をなめるな」すぐに犯された」「ぼくのじじいの押し入れの中まだアメリカ兵の捕虜がいる」などと歌っており非常に最悪なんですが曲が良い
特に「ライスささにしき」と「少年よダッチを抱け」の2曲が良いです。
ライスささにしき」は米の自由化のせいで農村が過疎った挙げ句に村の若い衆が同性愛に走ったり老婆が犯されたりする非常に社会派的な歌ですがメロディが明るくも切なげな感じで素晴らしい。
少年よダッチを抱け」はタイトル通り兄のダッチワイフを勝手に使った少年が罪の意識に苛まれ贖罪するというバラード調の楽曲でメロディも物悲しい。

それにしてもライナーノーツを「便器(毒餌)」という人が書いてるんですがどういう育ち方をしたらそんな名前を名乗ろうと思うのか。

Absent Lovers: Live In Montreal 1984 / King Crimson

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みんな大好き80年代King Crimsonのライブアルバムです。
と言っても僕はKing Crimsonのアルバムを去年まで「Red」しか聴いたことがなかったので全く詳しくないんですけども今年なぜか急に80年代King Crimsonに一時期ハマりまして、「Discipline」から「Three of a Perfect Pair」までのアルバムを一通り聴いたんですが、最終的に80年代の活動をまとめたこのライブアルバムが好きな曲全部入ってるのでこればっかり聴いてました。
80年代King Crimsonについて書きますと、60〜70年代King Crimsonは「21st Century Schizoid Man」に代表されるように曲時間が長くて曲構成も複雑というまさにプログレという感じなんですが80年代King Crimsonは曲時間が短い! だから聴きやすい。あと歌が入っててポップ。なので聴いた。
作風的にはよく言われてるようにミニマルだったりポリリズムっぽかったりする部分があってそこにはニューウェーブの影響を感じます。Talking Headsとかその辺りですね。XTCっぽさを感じたりもした。
スタジオ録音だとその辺特にミニマルな部分が強調されてますが、ライブ音源だとやっぱ演奏のテンションが段違いでライブバンドだなーと思う。
個別の曲では「Sleepless」がめちゃくちゃかっこいい。ベースがベキベキ言っててかっこいい。あと「Frame By Frame」もめちゃくちゃかっこいい。イントロのギターの絡みからもうテンションがぶち上がる。「Thela Hun Ginjeet」も好きです。

The Beatles / The Beatles (再聴)

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今年後半ビートルズが話題になってたのでなんとなくThe Beatles(アルバム)を聴き返しました。あまり音楽をわかってないときに聴いた(今もわかってない)ので聴き返したらなにか違う感想があるかなーと思って。これ初めて聴いたのいつだっけ……10年以内だとは思う。
ビートルズはマジ全然何かを書けるほど聴いてないのであまり変なことを書くのはやめておく。Revolver以降しか聴いてないし。
結論から言うと好きな曲は特に変わりなしでした。新しく「Good Night」ええ曲だなーと思ったくらい?(というかこの曲配置がかわいそうすぎると思う)でも前より全体感を把握できた気がする。
前から好きなのは「Glass Onion」「While My Guitar Gently Weeps」「Healter Skelter」とかその辺ですがやっぱりかっこいい。あと入ってないけど「Revolution」のシングル版はすげえかっこいいなーと再認識した。
でも本当全然古くならないですね。ローファイ感(当時はローファイではなかったわけだが)も合わさって完全に現代のインディーロックと地続きな音楽だと思う。

Soundtracks for the Blind / Swans

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Swansはアメリカのポストパンクバンドです。ポストパンクとはなにかと言いますと暗くて不穏なパンク。Joy Divisionとかですね。SwansはJoy Divisionよりもっと暗くて不穏なパンクです。
去年「Swans Are Dead」を聴いてから謎にSwansにハマってまして、今年頭に「The Great Annihilator」を聴いて「Mind/Body/Light/Sound」かっこいいなーと思ったりした。ただ重い音楽なのであんまり日常的に聴けるものではない。というわけで「Soundtracks for the Blind」はこないだ聴いた。
これRate Your Musicで凄まじい高評価なんですよね。それも込みで聴いたんですけど聴いたあとこれに高評価付けるコミュニティ何??と思った。いや高評価も頷ける凄まじいアルバムだけども。

2枚組2時間半というボリュームがすごいし相応のパワーで殴ってくる音楽。10分超えの曲が4曲、各CDの前半と後半に配置されてまして、その他も5分超えの曲が多く、たまにスキット的な短めの曲が入っているという構成。内容的にもインストや電話音声のサンプリングで構成された曲と通常の楽曲が半々くらいの割合。なのでまず一般的な歌モノのアルバムではなく、その名の通り映画のサントラのような構成です。
しかしどの曲も暗えし怖い!
気持ち悪い逆再生の上に童女の声でひたすら「I, in a sunny day, a beautiful day」とループする「The Beautiful Days」やヤバい宗教的な雰囲気からミュージックコンクレートそして電話のサンプリング音声に移って最終的にノイズになる「Her Mouth Is Filled With Honey」サイレンのような音と耳障りなノイズの遠くで叫び声のような何かが聴こえる「I Love You This Much」を筆頭にすべての曲が不気味で恐ろしい。
歌詞も人食カルトの歌「Yum-Yab Killers」を始めとしてどれも怖い。でも「Yum-Yab Killers」はめちゃくちゃ野蛮でかっこいい曲。
斯様にとんでもないアルバムなんですが、3曲目に置かれた15分というアルバム中最長を誇る「Helpless Child」が本当に素晴らしい。陰鬱なメロディをひたすら垂れ流した後、ストーナーロック的な重たいリフに移行し叩きつけるような演奏を繰り返し続ける楽曲。非常に美しいです。
全体的なアルバムのテーマはなんとなく家族や血縁をテーマにしてるのかな?というぼんやり理解で正直なところわからんのですが、アルバムタイトル「Soundtracks for the Blind」のBlindとはボーカルMichael Giraの父親が白内障を発症し最終的に盲目となったことを指しているらしい。後は日本語の情報が無さすぎるので謎です。Swansは全体的に日本語の情報がなさすぎる。

ニューヨエコ / ヨエコ

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倉橋ヨエコ現ヨエコの活動再開後初のアルバム。倉橋ヨエコは2000年代に活動されていたシンガーソングライターで代表曲はみなさんおなじみ「夜な夜な夜な」等があります。
初アルバムといってもこのアルバムは既存曲のセルフカバーと新曲1曲という構成。ですがそのセルフカバーがどれも素晴らしいです。セルフカバーを原曲が超えることってほとんど無いと思うんですが、このアルバムはどれも原曲を超えてるか別の魅力を新しく与えられていると思います。

まず原曲は謎にポップだった「友達のうた」がお洒落でジャジーな感じにアレンジされてるのが良い。原曲より好きです。それから「夜な夜な夜な」と「卵とじ」のセルフカバーがありましてこちらもジャジーな雰囲気のリアレンジ。
その後の「昼の月」はこのアルバムで唯一原曲の方をあまり聴いてない曲だったんですがこのセルフカバーで良さに気づきました。「かじってみるさ」の連呼かっこい〜〜
で「今日も雨」ですが、原曲が倉橋ヨエコで掛け値なしに一番好きな曲なんですが原曲と別の魅力があってとても味わい深い。流麗で美しいストリングスアレンジに原曲の頃より少し掠れたヨエコさんの歌声が素晴らしいです。マジでストリングスのアレンジがめっちゃくちゃ良い特にラスサビ前あたり。歌詞もメロディも最高だしな……。
新曲「ドーパミン」は往年と全く遜色ないメロディのアダルティで洒脱なジャズポップで、その上にしんどいけど頑張って生きていこうという歌詞が乗っている楽曲。まさにヨエコさんしか作れない曲ですね。そんでもって間髪入れずにラスト「」のピアノ弾き語りを置くのはずるい……。

というわけでヨエコさんが活動再開されたわけなんですけどインタビュー見て思うのは無理しないで活動してほしいな〜という感じです。

以上!

ここ1年でよく聴いた曲をSpotifyプレイリストにしました2023

 この記事は人生たのベントカレンダー🎶 Advent Calendar 2023 17日目の記事です。

1. Fdf エフ・ディー・エフ (e o) / cero

 今年出た新譜より。
 2020年に出たときに聴いた際はこういう感じの曲かーと思って流してしまってたんですがアルバムで聴くとめちゃくちゃ核になっててすごかった。

2. Norton Commander (Album v) / Men I Trust

 Men I Trustに出会ったのは去年なんですがめっちゃ聴きました。このふわーっとした感じの音像が好き。

3. オーバー! / いよわ

 いよわさんも今年めっちゃ聴きました。これほんといい曲だと思う。

4. O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!(GAME VERSION)

 久川凪が前から好きだったんですがなぜか今年になってこの曲にめっちゃハマった。カラオケでもよく歌いました。楽しい。

5. わたしたちのクエス

 今年はブルアカにハマったのでブルアカの曲をいっぱい聴きました。カラオケに入ってほしい。

6. 優しさの記憶 / 鹿乃

 これもブルアカの曲です。これめっちゃ感動的で良い曲。

7. 自家製ベーコンの作り方 / People In The Box

 今年出た新譜から。今年好きなバンドの新譜がめっちゃ出た。なんだかんだこの曲を一番聴いている。柔らかい音でポップで毒がある。

8. 素晴らしい気晴らし / 詩人の血

 この曲目の中で一番知名度が低い曲だと思う。詩人の血は前期はテクノポップで後期は渋谷系のバンド。でこれは後期の曲。サビメロが超キャッチー。

9. LOWER POP HIGHER LTD. / LOWPOPLTD.

 これめっちゃ良い曲。インディーロック好きはぜひ。

10. ユウグレデスカ / トルネード竜巻

 四つ打ちでノリノリの曲。転調が入ってたりひねくれ要素もあってよいです。

11. ストロボメモリー / 内田真礼

 今年はSSSS.GRIDMANとSSSS.DYNAZENON(とグリッドマン ユニバース)も観た。最初はyouthful beautifulが大好きだったんだがこの曲の良さにも気づきました。透明感があって青春っぽくてとてもいい曲。大サビの高らかなメロディが好き。カラオケでよく歌った。

12. 光暈 / 君島大空

 今年出た新譜の曲。君島大空さんは今年2枚出しましたね。しっとりしていて聴いていて安らぐ曲。

13. うつして / Syrup16g

 去年出た新譜の曲。歌詞がエモい。ギターソロもエモい。

14. きみに回帰線 / 稲葉曇

 ローテンションで疾走するのが好き。

15. oyasumination / ippo.tsk

 これも疾走インディーロック好きならぜひ!! 疾走感が泣ける。だからラストにした。

僕が好きなボカロと東方アレンジと邦楽ロックの話をするので聴いてもらったり同意されたりしたい

YouTube貼りすぎてめっちゃ重い!!!! ごめん!!!!

この記事はすしすきー 健全版 vol.1 Advent Calendar 2023 16日目の記事です。
こんにちは、蝉暮せせせです。Fediverseに生きるしがない音楽好きです。
今回は僕が好きな音楽を皆さんに紹介しようと思います。

のですが、そんなこと言われてもまずお前が誰だか知らねえしお前の聴く音楽も知ったこっちゃねえよと思われる方が大半かと思います。
大丈夫です。
この記事を読み進めるだけで、僕が一体どのような人間で、どのような音楽を聴いていて、それがどんな音楽なのか一発でわかるように書きました。
お手間は取らせませんのでどうか読んでいただけますと幸いです。

これから音楽を作っている人の名前がいっぱい出てきますが、簡単にその人たちの概要と入門に良さそうな曲を貼っ付けています。
有名どころばかりなので全部知ってるという方もいるかもしれませんが、そういう方はこの記事を読んでるときだけ全員忘れてください

米津玄師が好きです

まずは掴みとして、みなさんご存知であろう米津玄師さんの話をさせてください。

米津玄師が好きです。本当に好きです。
「好きな音楽って言ってもどうせみんな知らないだろうからメジャーなものでお茶を濁しておこう」の米津玄師ではなく、本当に好きです。

その証拠にこちらを御覧ください。

これはLast.fmという聴いた音楽を記録できるサイトがあるんですがそこにある僕のアカウントのキャプチャで、僕が今までの人生*1で聴いたなかで再生回数が多いアルバムの表です。
米津さんが2014年に出された「YANKEE」というアルバムが再生回数で言えば自分のオールタイムベストとなります。

3曲程度ご紹介します。

乾涸びたバスひとつ

Spotifyで失礼します。この先YouTubeに公式で上がっているものはYouTubeを貼っていますが無いときはSpotifyを貼ったりよく知らない誰かが上げた動画を貼っています。
2012年のアルバム「diorama」収録。
「YANKEE」の方が聴いた回数は多いのですが、アルバムの全体の雰囲気や統一感は「diorama」の方が好きです。
この「乾涸びたバスひとつ」という曲はその「diorama」の間違いなくハイライトになる曲。
ローファイでダウナーに鳴らされるバンドサウンドに回顧的な歌詞、そして感情を発露させるCメロの叫びがエモい。この人の曲で一番エモい瞬間だと思う。

LOSER

2017年のアルバム「BOOTLEG」収録。
その前のアルバム「Bremen」からこの時期、個人的には初期のようなひねくれた要素が減退していたように感じられていたので当時は少し離れてしまっていたのですがこの曲は好んで聴いていました。
この曲を聴くと、群馬県高崎駅前(実家の最寄りです)の駅前ロータリーでこの曲を流しながら真夜中に一人で踊ったことを思い出します。

感電

2020年のアルバム「STRAY SHEEP」収録。
「Lemon」でアホほどバズってからの大躍進はもう皆さん知るところだと思いますが、前述したように自分は米津さんの音楽から一時期離れていた時期がありました。そんな自分を呼び戻したのがこの曲です。
ファンク感とひねくれた感じが非常に好き。諧謔的なMVも散々ネタにされましたが雰囲気のあるMVだと思います。


で、「YANKEE」の話はしないんですがまだまだ紹介したい人は沢山いるのですみませんが割愛させてください。「リビングデッド・ユース」が好きです。

米津玄師が好きということは、好きなボカロの話をします。

ボカロ

というわけで好きなボカロPを8名ほど紹介します。そろそろニッチな話となりますが辛抱強く読んでいただければ幸いです。

wintermute

シューゲイザーというジャンルがあります。ロックの1ジャンルで、ロックにおいてギターという音は基本的にギャーンという感じで鳴っていますがそれをより歪めて更に引き伸ばしてゆらゆらさせたような音色を特色とするジャンルです。
wintermuteという方はボカロでシューゲイザーをやる、いわゆるミクゲイザーの代表的な作者です。こちらをお聴きください。

Jupiter Pop

2009年のアルバム「Stray Light」収録。
ジャキジャキしたギターが残響感強めで鳴っているのがわかると思います。かっこいいですね。
疾走感と躍動感、よくドライブ感と言ったりしますが楽器隊(ギター以外は打ち込みですが)の熱量と勢いに溢れている曲です。
同アルバムでは「Song of Pixie」もめちゃくちゃ好きです。

Song of Pixie

2009年のアルバム「Stray Light」収録。
なんかこのキラキラしたギターの音色を聴くと大変エモい気持ちになってしまう。

えこまる

えこまるさんもミクゲイザーの代表的な作者です。

参月の雨

2010年のアルバム「Visions & Flowers」収録。
これはどちらかというとナンバガフォロワーのオルタナなギターロックっぽい曲ですが、ジャキジャキとした音がかっこいい曲です。
ナンバガって何? オルタナなギターロックって何? と横文字が急にいっぱい出てきて混乱されたかと思いますが、後でナンバガの話をするので大丈夫です。こういう音楽です。正確にはこういう音楽と言い切ってしまうと語弊があるしファンから怒られそうなのだが大丈夫です。

A monochrome girl. ( @the world's end )

2010年のアルバム「Visions & Flowers」収録。
こちらはガッツリシューゲイザーな曲です。浮遊感と陶酔感が強めですね。
個人的にどちらもマイブラの影響は強いという前提の上でwintermuteさんはRide成分が強め、えこまるさんは更にマイブラに寄った上でマイブラ以降のいわゆるディーパーズやcruyff in the bedroomのようなギターの音の壁を強調したり陶酔感を強めた方向性に進んでいる印象がある。

上記の2つはどちらも「Visions & Flowers」というアルバムに入っており、廃盤で再プレスもなくサブスクにもありませんが僕は持っています。羨ましいですね。みなさんもどこかで見つけたらすぐ買いましょう。

全自動ムー大陸

この曲を聴いてください。

今​夜​は​ミ​サ​イ​ル​が​落​ち​る​か​ら​下​着​を​僕​に​く​れ

2014年のアルバム「やめも」収録。
ジャンルとしてはこちらもミクゲイザーだと個人的に思ってますが、先の4曲と比べて明らかになにかがおかしいというのが分かっていただけると思います。
歌詞も音もだいぶイカれてますが、それが良い。

ちなみに今回は例によって泣く泣く割愛しますが、これを聴いて良いと思った方はボカロではないですがHASAMI groupや未来電波基地もオススメです。
ボカロでこの辺りに重なるのはアメリカ民謡研究会でしょうか。
ここから青屋夏生や緊急ゆるポートに足を広げていくのもいいぞ。でんの子PやMSS Sound Systemも良い。最近だと故やす子やAOTQもこの辺りが好きならおすすめ。お前も沼に落ちろ!!

ふなむし

君たちはふなむしを知っているか!?

遺書とハートマーク

2014年のアルバム「こわかったね」収録。
アルバム「無精卵」と「こわかったね」を残していなくなってしまった*2(ていうかボカロPはそういう人が多すぎる。あの才能たちは一体どこへ散らばっていってしまったんだ)孤高のカリスマボカロP。
歪みきったノイズギターの壁に圧倒される。メロディも歌詞もとても切実で物悲しい。
この人より「悲痛」という表現が似合う曲を作れるボカロPを僕は知りません。

アノマロカリスの裔

2014年のアルバム「こわかったね」収録。
「こわかったね」はミクゲイザー好きならマストだと思います。


有名どころもいきましょう。

Treow

Drain

2009年のアルバム「Piece of Cipher」収録。
みなさんもちろん逆衝動PことTreowさんはご存知かと思いますが個人的にこの曲が一番好きです。ジャンルとしてはエレクトロニカ
後半のノイズの嵐を爆音で聴くと飛びます。

ハチ

さっき出てきたひと!!!

パンダヒーロー

2010年のアルバム「OFFICIAL ORANGE」収録。
毎回カラオケで歌う。

白痴

Spotifyではなにかのあれなのか「はくち」になっていますが正式タイトルは「白痴」です。
2010年のアルバム「OFFICIAL ORANGE」収録。
ハチの曲で一番好きなのがこれ。6分超えの壮絶な楽曲。この箱庭的で病的な世界観がひとつの完成を迎えた作品こそ「diorama」ですね。
ハチという人は米津玄師さんのボカロPの名義です。


あとは最近のやつ。

いよわ

このひと多分天才だと思う。

オーバー!

2021年のアルバム「わたしのヘリテージ」収録。
きゅうくらりんはみんな知ってると思うので、個人的に一番好きなこちらを。
いよわさんにしては割とひねた要素が少なく楽しい曲。
良い曲はイントロ5秒で掴んできますがこれがまさにそう。

1000年生きてる

2021年のアルバム「わたしのヘリテージ」収録。
創作やってる人はみんな刺さると思う。刺さった。

稲葉曇

ラグトレインいいなーと思って「ウェザーステーション」を聴いた。よかった。

きみに回帰線

2022年のアルバム「ウェザーステーション」収録。
ざらざらした抑揚のない声で淡々と歌われる救いのない歌詞。好き。
あとアルバム「ウェザーステーション」のラストがこれなので曲順配置補正も入ってると思う。ラストがこれとは……。

ひみつの小学生

2022年のアルバム「ウェザーステーション」収録。
こちらは「ウェザーステーション」のオープニングを飾る曲です。
こっちもだいぶシニカルな歌詞に可愛げの欠片もなく(ちょっとある)ローテンションに疾走する曲。かっこいい。


というわけで好きなボカロを紹介しました。
ここまででだいぶご理解いただいてると思いますが、自分はニコニコ動画ど真ん中世代でどっぷり浸かっております。
ニコニコ世代ということは、東方アレンジの話をします。

東方アレンジ

東方Projectというゲームがありますね。東方アレンジというジャンルは東方Projectのゲーム内で使われているBGMをベースに歌詞をつけたり編曲したりしたジャンルです。
冷静に考えると人の作ったBGMから別の曲を作るって今の文化じゃちょっと危ない発想のジャンルだし東方以外だと絶対成立しなさそうなジャンルだ。
しかし、東方アレンジを聴くにあたってそういった情報は全部忘れてOKです。
もちろん原作の知識はあったほうが楽しめるが無くても楽しめる。それがよいところ。原作関係ない曲も多いししかし原作の理解は高ければ高いほどいい。そういうのが好き。僕は東方が好きなので。

モジャン棒

先ほどのめっちゃ聴いたアルバム表で「モジャのみぞ知るセカイ」というアルバムがありましたね。それを作ったサークルです。
音楽性としてはかなり体に悪そうなオルタナロック。特に初期の曲は歌詞も曲も殺伐としていて刺々しい!
東方キャラよろしく酒かっくらって聴くと楽しそうな音楽です。僕は酒が飲めないので気分だけですが。

脳無オーケストラ

2013年のアルバム「モジャのみぞ知るセカイ」収録。
このアルバムでモジャン棒に初めて出会って最初にアルバムのクロスフェードを聴いたとき、これが流れて一発で「このサークルは間違いない」と思った。皆さんもそう思うでしょう。
もうジャキジャキしたギターが出てくるのなんどめだって感じですが僕はこういう音楽が好きです。
「モジャのみぞ知るセカイ」は地霊殿曲で占められたアルバムです。モジャン棒の殺伐とした不健康な世界観と地霊殿がマッチしすぎている。なのでそれこそ人生ベストレベルに聴いた。「脳無オーケストラ」は少女さとりが原曲ですがおねえちゃんの性格の悪さが滲み出てて最高。こいしちゃんアレンジ「心無マスホリック」がそこに並んで個人的に双璧ですが、こちらもディスコミュニケーションっぷりをポップながら寂しげなメロディで歌っている曲で大変意地悪い。でも終盤「遠景ライン」と「荒天ロック」で明るく締めるので聴後感*3は良い。

自殺クラブ

2012年のアルバム「COUNTDOWN GENSOUKYOU 12/13」収録。
もうイントロの瞬間から高音がギャリギャリしてて耳に刺さる!!! それがオルタナロックというもの。ナードっぽくて体に悪そうであれば悪そうであるほどいい。
みんな大好き蓮メリ心中シチュもついてお得。

ごりら公園

ごりら公園もモジャン棒と同様、オルタナロックアレンジを中心とするサークルです。
モジャン棒よりは健康的で爽やかなロック。だと思っていた。2015年までは。
2015年暮れにリリースされた「花冷姫」(名曲。ネットでは聴けない)を境にポップではありつつもそれ以前もあったダークな要素を前に出し始めて、それまでも好きだったんですが更にハマりました。ダークな感じの音楽が好きです。
最終的にその方向性が名盤「不眠画報」として結実します。

まどろみ

2014年のアルバム「芥のせせらぎ」収録。
「ハルトマンの妖怪少女」を原曲とするアレンジ。つまりこいしちゃんの曲。
中盤の引き裂かれるような高音のギターソロがエモくて素晴らしいです。

Silver

2018年のアルバム「不眠画報」収録。
名盤「不眠画報」。あの東方我楽多叢誌にも紡さんによるレビューが掲載されています。

touhougarakuta.com

そのオープニングを飾る楽曲。
不健康なオルタナロックを象徴する、夜を感じさせるなんとなく不穏で寂しげな楽曲。
アルバムだとこの曲〜D・W・D〜ロボトミーの流れがよすぎる。好きな曲順ランキングを作るとしたらトップ10に入ると思う。
ていうか不眠画報はどの曲もすばらしい。ぜひ買って聴いてください。

名盤名盤言ってさっきのよく聴いた表だと5位じゃん! と思われるかもしれませんが、

2017年以降では1位です!!!
ちなみにPeople In The Box以外はこの記事では出てきません。また別の機会に。

深夜放送

夜の流れで深夜放送も紹介する。
こちらを聴いてください。

あなた(アルバム)

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2020年のアルバム「あなた」。
もうジャケからして不穏で曲もかなりガッツリしたノイズロック。
こういう東方アレンジがこの世に存在します。


もっとポップなやつもいきましょう。

OTAKU-ELITE Recordings

SCARLET DISCO

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2009年のアルバム「Tsukuyomi and Amateras」収録。
U.N.オーエンは彼女なのか?」が原曲。なのでフランちゃんの曲。キッチュで狂気的で楽しくてかっこいい曲。

OTAKU-ELITE Recordingsという名前にピンと来ない方もいるかもしれませんが、みなさんおなじみあの「スカーレット警察のゲットーパトロール24時」の作詞・編曲を行ったD.watt/七条レタスさんの個人サークルです。
個人的にこのサークルのタロット三部作と呼ばれるアルバム群が非常に好きなんですがそれについて書いてるとやはり時間がなくなるので割愛します。

The Secret Garden

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2011年のアルバム「貴女が生きる、この世界」収録。
そのタロット三部作からの曲。
あさなさんのたおやかに伸びる歌声とお洒落なコード進行が素晴らしいです。

アリスミア・アリスメア

ほんと東方アレンジについて書くとあれもこれも書きたすぎるのでかなり絞ってますが最後にこれだけ紹介させてください。
僕が知ってる限り唯一の変拍子ポストロックアレンジをやるサークルです。

僕の名前で呼ばれた鳥

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ウワーカッコイイ!!!!!!


東方アレンジも昨今ではサブスク解禁されているアルバムもありますが、それでもインターネットでフルでは一曲も聴けない名盤が多く存在します。
彼らを掘らないのは音楽好きとして大変もったいないことだと思います。とか言って僕も最近は全然掘れてないですが……。


ここまで辛抱強く読んでくださった方はもう僕の趣味嗜好を理解されたと思いますし、恐らく同調してくださるのではないかと思います。
邦楽ロックの話に行きます。

邦楽ロック

NUMBER GIRL

NUMBER GIRLが好きです!!!
NUMBER GIRLというバンドをご存知でしょうか。1995年夏から己の自力を信じて2002年まで活動し解散、その後2019年に再結成し2022年に再解散なされました。
音楽性はジャキジャキとした高音が強い騒やかなギターとゴツいベースと暴れ太鼓みたいなドラムとへんてこなボーカルが織り成すオルタナロック。
さてオルタナロックとはなんぞやという話をする。
1980年代後半〜1990年代に前述したようなシューゲイザーとかあとグランジとかかたやポスト・ハードコアとかそっからエモとか諸々そういう名前のついた新しいロックのジャンルが生まれるんですけどもそれを引っくるめてオルタナティブ・ロックと呼称されます。されないこともあります。
この記事で言うオルタナロックとは早い話がうるさくて暗くて不健康そうなロック。
雑な知識を披露するのはこの辺でやめといて視聴してみましょう。

NUM-AMI-DABUTZ

2002年のアルバム「NUM-HEAVYMETALLIC」収録。
俺はナムアミが一番入門に最適だと思っているのでこれを一番に貼った。実際僕がナンバガの曲で初めて聴いたのはこれ。
これだけ見ても何がなんだかわからないと思いますがNUMBER GIRLはこういう人たちです。

TUESDAY GIRL

2000年のシングル「鉄風 鋭くなって」もしくはベストに収録。
あとはTUESDAY GIRLを貼っておく。今更透明少女とか鉄風とかオモイデインマイヘッを貼っても芸がないと思うので。
NUMBER GIRLNUMBER GIRLたる所以がここに詰まっている。ナムアミと合わせて聴けばもうナンバガというバンドがどういう感じかわかるかと言われれば全然そんなことないんですけども
これ鉄風と同じシングルに入ってんのすごくない?
あとこの曲は騒やかな演奏のバージョンがめっちゃいいんだがそれをここに貼るのは憚られる(今更)ので探して聴いてください。

水色革命

1997年のアルバム「SCHOOL GIRL BYE BYE」収録。
あんまりギザギザした感じばかりの曲を貼ってもしんどいので、初期の爽やかめな曲も聴いてください。
ギターは相変わらずギャンギャンしてますがメロディが甘酸っぱくてキラキラしている曲。

People In The Box

ナンバガと一気に毛色は変わりますが、僕が人生で最も聴いたバンドであるPeople In The Boxについても書きます。
ピープルの特徴はなんといっても変拍子と目まぐるしく変わる曲展開。そのため一発で全容を把握するのは難しいですが、わかってくると大変気持ちいいです。
わからなくても曲展開に振り回される感が楽しいしメロディのポップさがすばらしい。

聖者たち

2014年のシングル「聖者たち」もしくはベストに収録。
そう、「聖者たち」を作ったバンドなんですね。聖者たちとはアニメ東京喰種トーキョーグールのEDです。
さすがにアニメ提供曲だけあってキャッチーに仕上がっています。
そもそも耳に残る中毒性のある曲を作るのが上手い人達なんですが、この曲も印象的なベースとひねくれたメロディで掴んでサビで開放感を与えるという構成がとても上手い。

懐胎した犬のブルース

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2019年のアルバム「Tabula Rasa」収録。
ぶっちゃけ聖者たちに比べたら大変地味な曲だと思う。ここまで来るとあんまりロックって感じでもないし。ただ僕がピープルで一番聴いた曲がこれ
インパクトの強い曲ではなく、良さを言語化するのも難しい。ただピアノとベースの絡み、踏みしめるようなドラム。マリンバ(多分)やサビのキーボードなど優しく生命力のある音の配置がすごく心地良い曲。さりげない転調もアクセントになってます。

泥の中の生活

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2007年のアルバム「Frog Queen」収録。
僕がピープルに出会った曲。
これがいければもうピープルは全部いけます。

the cabs

ピープルについて書いたんだったらthe cabsについても書かなきゃ嘘だよな、ということで当然ながらレーベル同門キャブズも好きです。
ピープルとキャブズはかつて同じ残響レコードというレコードに所属していました。

二月の兵隊

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2011年のアルバム「一番はじめの出来事」収録。
僕がキャブズに出会った曲。名刺代わりという感じで、キャブスのだいたいの要素はここに詰まっている。
キャブズの特徴はポストロック感高いしなやかで手数の多いドラムと変拍子、時々急に入ってきてびっくりする絶叫。そして何より耽美的な歌詞。

anschluss

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2013年のアルバム「再生の風景」収録。
タイトルが読めねー!!!!!! アンシュルスと読みます。
このバンドで高橋國光さんが表現しようとしていたグロテスクな美しさは音からもそしてこのMVからも伝わると思う。

素晴らしいバンドでした。2013年に解散しています。

group_inou

最初に掲載したよく聴いてるアルバム表にいる人たちで残り紹介してないのはgroup_inouだけとなりました。
で、group_inouの紹介なんですがこれまでと打って変わってヒップホップです。
イノウの特徴といえばなんといっても基本的にかなり意味不明でたまに下ネタが入ってくるのになぜかかっこいいライムとゲーム音楽を思わせるチープで柔らかい音色のトラック。
まずはこちらの動画を見てください。見たことある人も改めて見てください。

THERAPY

www.youtube.com

2010年のアルバム「_」に収録。
曲より動画に100%意識が持ってかれたかと思いますがそれで掴みとしてはOKなので何度も聴いてください。

好きな曲も貼ろう。いやTHERAPYも好きですが。

ZYANOSE

www.youtube.com

2010年のアルバム「_」に収録。
12小節ワンセットという切りが悪い拍子でなんとなく不安感を醸す曲。
心細さや孤独感みたいなものにチアノーゼな不健康感も加わりながら疾走するのが気持ちいいです。

HAPPENING

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こないだ出た新曲! あまりにもイノウすぎる。ありがとう。アルバム出してくれ。


昔っから聴いてるアーティストを紹介したので今年よく聴いた人たちも紹介しよう。

cero

コンテンポラリー・エクレクティック・レプリカ・オーケストラの略らしい。
つまりどういう音楽をやる人かというと、古今東西いろんな音楽を折衷してお洒落で気持ちいい感じのポップスを作る人たちです。
まずはSummer Soulを聴きましょう。

Summer Soul

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2015年のアルバム「Obscure Ride」収録。
代表曲。シティポップリバイバルに乗っかってかなり世代のアンセム感を得た曲だと思う。ライブでやってくれません。
「Obscure Ride」自体が2010年代を代表するアルバムだと思ってるので興味のある方はぜひ聴いてください。

Fdf

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2023年のアルバム「e o」収録。
今年出た新譜の曲*4。僕はこの曲のジャンルを言い表す語彙を持たないのですがノリノリの楽しい曲です。管弦楽なチェンバーポップとファンクの折衷?

君島大空

このセクションで選んだ中では唯一ソロミュージシャンということでベースはアコギ弾き語り。なんですがかなりアブストラクトなアレンジをしたり脱構築的だったりバンドサウンドでやったりなどなどフリーダムな感じに曲を作る人。

向こう髪

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2021年のアルバム「袖の汀」に収録。
しかしこれはストレートに正統派の弾き語り曲。シンプルにアコギが上手すぎる。表現力……。
アコギの瑞々しさと躍動感が好きです。

火傷に雨

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2020年のアルバム「縫層」に収録。
多分この人の曲で一番キャッチー。ヒップホップ以降の流れを感じさせるリズムに歪んだギター。

No heavenly

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2023年のアルバム「映帶する煙」に収録。
本領発揮というか、この人の混沌とした世界観が凝縮されてる曲。
この曲が一番初期七尾旅人フォロワーという感じがする。グランジでフォークでポップでシューゲイザー

お疲れ様でした

以上が僕の好きなアーティストで、みなさんに知らしめたい、あるいはいいよね……いい……と同意を求めたい人たちです。
まあ他にも好きなアーティストはいっぱいいるのですが割愛しました。また別の機会に。

それで何が言いたいのかというと、僕の趣味はこれで皆さんわかったと思うのでみなさんもこの記事のように自分の好きな音楽の話をいっぱいしてくれ!!!!
よろしく頼みます。

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零細ボカロPです。作った曲を聴いてくださると幸いなり。

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今年の頭に出したアルバム。以上に挙げた素晴らしい楽曲たちと比べると大変見劣りするががんばってつくった。
この記事にいる人たちを聴いて育った人間が作った音楽です。

宣伝2

俺はここにいる。

tanoshii.site

以上、シマエナガの提供でお送りしました。

*1:正確には2011年からの12年間

*2:Twitterにはいらっしゃる)

*3:知らない言葉だ……

*4:曲自体は2020年リリース

お菓子をモチーフにした楽曲について語る

はじめに

 こんにちは、蝉暮せせせです。

 この記事はウエハース Advent Calendar 2022の1日目の記事です。

自己紹介

 蝉暮せせせという名前で音楽作ったり文章を書いたりしている者です。

「いい音楽」という好きな音楽を貼りあって共有するDiscordサーバーを運営しております。こちらはたまに招待リンクをTLに流してるので上記アカウントをチェックしておいてください(宣伝)。

今回の記事の趣旨

 ちょっと前の一時期、某SNSでアカウント名をウエハースにしていた時期がありまして、そのノリで「ウエハース Advent Calendar 2022」というアドベントカレンダーを作ってしまったんですが、冷静に考えるとウエハースは好きでも嫌いでもないし語りたいことも全くないのに気づきました。
 考えた結果、せっかくウエハースにこじつけるのであればお菓子をモチーフにした楽曲について語ろうかなと思ってこういった趣旨の記事を書いてみました。よろしくお願いします。

アイスクリーム シンドローム / スキマスイッチ

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 いきなり大ネタでごめんなさい。
 一曲目はスキマスイッチアイスクリーム シンドローム」です。

人について

 スキマスイッチゼロ年代J-POPを代表するグループで、みんな大好き「全力少年」とかドラえもん映画の主題歌「ボクノート」とかを歌ってる人たちですね。この曲もポケモン映画の主題歌です。

曲について

 ソフトロックマナーに則った、爽やかなアコギのストロークと柔らかいクリーンギターのアルペジオに導かれてだんだん盛り上がっていくという曲です。サビの「かな↑〜」で舞い上がるメロディが大好き。終盤でどんどん転調していくのも好き。
 個人的に自分もこの曲をポケモン映画のエンディングで聴いたので思い入れのある曲です。暑くも清涼感のある夏の雰囲気に満ちた楽曲だと思います。

Apple star storyS / Good Dog Happy Men

 二曲目はGood Dog Happy MenApple star storyS」です。
 驚くべきことに、これ名曲なのにインターネットのどこにも上がってないのでCD買って聴いてください。

人について

 Good Dog Happy Menは日本のバンドで、元BURGER NUDS/現Poet-type.Mでおなじみ門田匡陽氏が率いるバンドです。今では売れっ子ドラマーの伊藤大地氏も在籍していました。
 このバンドで特筆すべきはツインドラム編成である点ですね。1stフルアルバムまでそうだったんですが、左右チャンネルで異なるリズムを鳴らすドラムが躍動感と曲によっては民族っぽさを演出しており、またバンドの特徴の一つであるチンドン屋感にも大いに貢献しています。

曲について

 このApple star storySという曲は夏祭りでの一幕を描いた曲です。そもそもGood Dog Happy Menというバンド自体が楽曲で一つの物語を描くバンドなのですが、この曲もAメロBメロサビというよりは起承転結の流れを重視した大変ドラマチックな構成になっております。
 キラキラしたメロディもキャッチーで大変素晴らしいです。

キャンディ・ハウス / thee michelle gun elephant

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 三曲目はthee michelle gun elephant「キャンディ・ハウス」です。
 やっぱミッシェルはライブ版見てなんぼだと思うので貼りましたが、ぶっちゃけ個人的にはこの曲に関してはスタジオ版の方が好きです。

人について

 thee michelle gun elephantは日本のバンドで、70年代のガレージロックやパブロックに影響を受けたロックをやっていたバンドです。ガレージロックやパブロックというのは、なんかざらざらした感じの音のロックです。

曲について

 これはまぁ上に貼ったライブ映像を見ればわかるって感じなんですが、ゴリゴリのギターとベースを勢いのあるドラムが引っ張っていくという曲です。ミッシェルの曲だいたいそうだろと言ってはいけません。
 しかしここで語っておきたいのは、この曲の全体に漂っている妙な可愛らしさですね。「キャンディ・ハウス」というタイトル自体が個人的にアメリカのロリポップ的なドギツい原色のお菓子みたいなのを想起させるんですが、歌詞も「いちごジャムのついた皿をもてあそぶ」のように、可愛らしくも病的な心象風景が並んでいます。
 初期ミッシェルは「世界の終わり」に代表されるように、耽美的で美意識の強い画が描かれている楽曲が多いですがこの曲もその一つかなと思います。

 個人的にはHigh Timeのミッシェルが一番好きです。ポップで幻想的でそこはかとなく青い感じがするので。

飴玉の唄 / BUMP OF CHICKEN

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 大ネタが多い。
 四曲目はBUMP OF CHICKEN「飴玉の唄」です。

人について

 みなさん好きなBUMP OF CHICKENです。BUMP OF CHICKENは日本のバンドで昔は「天体観測」今は「アカシア」に代表されるようなドラマチックでロマンチシズム漂う楽曲を多く書いているバンドです。

曲について

 飴玉の唄。これ自分がバンプで一番好きな曲ですね。もう10年くらい言ってますが、orbital periodという人間讃歌のアルバムの核心部分の一つとしてこの楽曲が置かれている事実、あまりにも重要。
 有り体に言えば神の存在よりも「咳をする君の熱」を尊ぶという実存主義的なことを言っている歌詞なんですが、人生のあらゆる物事に先立つ日常の象徴として「飴玉」が登場します。日々に潜む死と待ち受ける運命についての独白が楽曲と渾然一体となって熱を帯びていく構成が素晴らしいなと聴く度に思います。

アンドーナツ / 倉橋ヨエコ

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 落差がすごい。
 五曲目は倉橋ヨエコ「アンドーナツ」です。

人について

 倉橋ヨエコさんは日本のシンガーソングライターです。2000年にデビュー、2008年に廃業されたということでわずか8年間の活動期間なんですが、なんといってもピアノポップに強烈な言葉と声を載せるというインパクトで未だに強い影響を残している方です。

曲について

 倉橋ヨエコという人は本当に女性の重い感情を描くのが上手く、この曲でも「アンドーナツ」というモチーフと卓越した日常の描写で聞き手をどんよりとした気分にさせてくれます。
「来てくれてありがとう 会ってくれてありがとう お掃除をさせてくれてありがとう」とは……。

僕のマシュ… / Serani Poji

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 六曲目はSerani Poji「僕のマシュ…」です。

人について

 Serani Pojiは日本の音楽グループです。元々はROOMMANIA#203というゲームに出てくる架空のグループなんですが、そこから生まれた企画ユニットとして今まで3枚のアルバムをリリースしています。なんといっても昔はセガ、今はアイマスへの楽曲提供でおなじみのササキトモコさんが中心のグループということで、ササキさんの曲が好きな自分みたいな人間にとっては氏の色が一番濃く出ているプロジェクトなので特に重要な存在です。
 PIZZICATO FIVEでもおなじみ福富幸宏さんがプロデュースしていたこともあることで、音楽性的にはポスト渋谷系的な色が濃いです。

曲について

 Serani Pojiの1stは特に不条理というか、まあ言うたら2nd以降の「スマイリーを探して」「ボンバーミンミ」「メリーゴーランドジェイルハウス」とかも全部そうなんですけど、オシャレなハウス調のトラックに載せて緩やかに救いがない感じの状況の人々を描いている曲が多いです。
 この曲もマシュマロ好きのプログラマーがマシュマロ食い過ぎてマシュマロ食えなくなっちゃったよって話なんですが、めちゃめちゃスタイリッシュなトラックとメロディに載せてそういった状況が歌われるので何故か妙に悲しく切なげに聴こえます。

エクレア / 岡崎体育

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 締めはこの曲!
 七曲目は岡崎体育「エクレア」です。

人について

 岡崎体育さんは日本のシンガーソングライターです。「MUSIC VIDEO」や「FRIENDS」、「感情のピクセル」のMVで一躍有名になりましたね。
 ビジュアル面でのインパクトを意識した曲も好きなんですが、割とみんな同感だと信じてるんですけど「スペツナズ」「Snack」「鴨川等間隔」「式」みたいなメロディアスな楽曲が肝だと思います。

曲について

 この曲も奇を衒わないメロディアスな楽曲の一つですね。どっしりとしたバンドサウンドに日常のささやかな風景が描かれる楽曲です。「いい曲はいい人ともに」のサビ、歌詞も素晴らしい上にコーラスワークがめちゃめちゃ好き。

おわりに

 お菓子をモチーフにしている曲はささやかな日常の尊さを描いている曲が多いですね!
 という事実、ちょっと考えれば分かると思うんですが僕は全部語り終わってから「そういやそうだな」と気づきました

 というわけで、みなさんもお菓子を食べながらお菓子の曲を聴きましょう!

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いい音楽 Advent Calendar 2022」を開催しています!
 自分が思ういい音楽について語ったりするとよいのではないかなと思います。このままだと自分が23日分書くことになるので参加よろしくお願いします!

 ウエハース Advent Calendar 2022は別に参加しなくていいです。

HASAMI groupの5th~20th(12thを除く)アルバムを通しで聴いたのでフルアルバム全作感想

ここ数ヶ月でHASAMI groupにドハマリして全アルバム一気に聴いたので感想を書いていきたいと思います。個人の感想です。

また、現時点で網羅したのはフルアルバムのみでEP作品他はまだ全部聴けてないのですがそれは今後の楽しみに取っておこうと思っております。

5th. 鉄街ろまん

今のHASAMI groupのイメージで聴くと取っ付きやすさが微塵もなくてまず驚く。ポップさの欠片もないハードで重苦しいアルバム。
音楽性的には後の作品よりもテクノポップハードコアテクノの影響が強い気がします。
電気パーティー」ではタイトル通り電気グルーヴの「ママケーキ」をサンプリングしてたりしますね。
また、表題曲「鉄街」の歌詞からは某冷凍都市について歌うバンドのような視点も感じられます。
全体的に好きな音楽から受けた影響をそのまま素直に出している感じで、そういう意味では微笑ましい作品とも言えなくもないです(あまりにも攻撃的なのでそこまで安心して聴けないですが)。
ただ「飛べない小鳥」だけはマジでヤバい。多重録音のトチ狂った語りから始まりド下手な合唱が繰り広げられるという曲なんですが、これ以降の諸作で顕著になるHASAMI groupの狂気性が早くも噴出している曲。夜中に聴いたら本当にトラウマになると思う。

好きな曲「飛べない小鳥」「DRAGON

6th. icky sump

初期(9th.「Scream Kiss」までを勝手に初期だと思っている)のHASAMI groupのアルバムでは一番好きです。
前作に引き続きハードで重苦しい作風で、更にはそこに陰鬱な狂気性までプラスされているのでかなり混沌として混乱した内容。
まず1曲目が20分近い語りな時点でイカれてるんですが、その中身もかなり露悪的で意味不明で不快で狂った内容。
なんですが、その20分近い語りを延々聞かされたラストにタイトルコールが為され、そして表題曲「icky sump(泥泥粘粘)」が始まる瞬間に謎の感動がある。本当に謎。
前述したようにポップさが微塵もなく歌詞もかなり混乱した内容が続く暗いアルバムなんですが、音使いは前作よりこなれてる感じが(若干)するので流れで聴くと結構聴きやすいです。

好きな曲「icky sump(泥泥粘粘)」「毒リズム」「桜んぼ

7th. スクールノイズショウネンショウジョ

引き続きポップさの微塵もないアルバム。むしろ前作より取っ付きづらい気がします。
耳を劈くような絶叫だけで終わる曲「保育シャウト」(どんな曲名?)があったりと相変わらずリスナーを敵視するような音楽が繰り広げられてるんですが、前作、今作と着実にアレンジや音使いの幅が広がっており次作以降に繋がるような進化も感じさせます。

好きな曲「小学シャウト」「東池袋

8th. tower of 1999

転機という言葉が相応しいアルバムだと思います。
なんといってもラストに置かれた「Deceiver's Life」、今作以降のHASAMI groupの方向性を示している大変重要な曲。
R&B調の曲ですが、(メロディアスな時の)HASAMI group特有のお洒落なコード使いやエレピ中心の澄んだ音に歪んだシンセを混ぜるというような独特なアレンジセンスがこの曲で早くも表れています。
流れで聴いてるとこの曲で突然超ポップになるので驚く。普通もうちょっと段階踏んでポップになるものでは……?
アルバム全体で見るとこの「Deceiver's Life」がハチャメチャに浮いてるんですが、他の曲も前作に比べて聴きやすくなりました。
特に「1999年タワー」「ill」は前作以前の攻撃性が聴きやすいかっこよさに転化されたこれらも重要な曲。
それ以外も相変わらず狂った雰囲気は随所に窺わせつつも、なんとなく人懐っこさというかユーモラスな雰囲気が出てきたかなという印象です。

好きな曲「1999年タワー」「ill」「Deceiver's Life

9th. Scream Kiss

初期の代表作「すずらん」が収録されたアルバム。
個人的な印象としては前々作以前に先祖返りしたような感じ。人懐っこさは減退し、ジャケットが表しているようなダークで陰鬱な雰囲気の楽曲で多く占められてる感じです。
その中にあって「Lily Sensor(I am the body)」のストレートな疾走感と「吉原遊郭」のユーモアが聴いていて安心できるので好きです。

好きな曲「Lily Sensor(I am the body)」「吉原遊郭」「すずらん

10th. 部屋と空

青木さん自身がライナーで書いているように、HASAMI groupのスタイルがここで確立された記念すべきアルバム。
HASAMI groupが初めて明確にメロディと歌をメインに据えたと言えるラスト4曲の流れは本当に感動的。
Rainy」「シンプルノットローファー」「全て」「音楽は死ねない」その全てが自らの置かれた青春を体現し、そこに捧げているような青さ溢れる名曲。
歌詞も「雨夜の階段を上る私たちは耐えている(Rainy)」「どんなどんなどんな遠くまで聞こえるような幸せな歌を捧げたい(シンプルノットローファー)」など美しく詩情のあるフレーズを連発しており非常に冴えています。
何より今までの5作で学生生活の暗部をひたすら晒し続けていたことを踏まえて聴くと、ここで放たれるストレートなメッセージに本当に胸を打たれる。
前半も「自閉症一瞬で治す音楽」「佐々木希VS北川景子」「Erectric Brain's Major System」を筆頭にテンション高く攻撃的ながらもポップな曲が揃っており、HASAMI groupの持つ攻撃性と叙情性が混ざり合っている素晴らしいアルバムだと思います。

好きな曲「Erectric Brain's Major System」「Rainy」「シンプルノットローファー」「音楽は死ねない

11th. flower

前作を引き継いだ勢いに満ちているアルバム。
まず冒頭「面白くない夢」がオープナーに相応しい、物悲しさを伴って疾走するとても切なげな曲。これが植物人間の歌であるという噂は本当なんでしょうか。余談ですがLOWPOPLTD.によるカバーも素晴らしいです。
全体的には歌モノは少なめでハイテンションかつ狂気的なユーモアを纏った曲が多く占めていますが、その中で「BI☆BI☆BI☆蛇」は頭抜けているように思います。
タイトルの連呼が耳に残る。スタイル的にも初めて明確にヒップホップを取り入れた曲ということでターニングポイント的な作品ではないでしょうか。
そしてこのアルバムで特筆すべきはラスト「夕べのラブソングはぜんぶ嘘」、震災で被災地のニュースが流れてくる中で書かれたというこの曲は死と愛について書かれたストレートなバラード。
メロディに乗り切らない歌詞が半ばポエトリーリーディングのように語られていく様は楽曲に収まりきらない熱を感じさせられて本当に胸を打つ。
混沌としたアルバムの締めにこういったストレートなメッセージを突きつけるという構成も素晴らしいです。

好きな曲「面白くない夢」「BI☆BI☆BI☆蛇」「夕べのラブソングはぜんぶ嘘

11.5th Slow Warning Slow

11.5thと称されたアルバム。こちらも歌モノは少なめで疾走感のある曲が多く入っている印象。
ただそんなアルバムの空気をラスト「Stand Earth Group Hopper」が全て塗り替える。「世界」と対峙する確固たる意思のある強いメッセージを持った曲。
不穏な雰囲気なんですが裏声コーラスが妙なキャッチーさを醸す「Circle Sunday」悲痛なメロディの「アオモルフォ」も好きです。

好きな曲「Circle Sunday」「アオモルフォ」「Stand Earth Group Hopper

12th. 青春時代

代表曲「病気が治ったら」を収録。Bandcampに無いので未聴です。

13th. Neon Cemetery

不穏ながらも可愛らしい雰囲気のあるイントロダクション「Welcome to Neon Cemetery」から始まるアルバム。
ポップな歌モノ「恋はサンダー」「WARP」も収められていますが、基本的にはちょっと暗めの印象を受けますね。
というのも10曲目「Ice Cream」からの流れがすごい。アルバム後半、ラストに向けてタイトルを象徴するように作品はどんどん生気を失っていく。
輪郭の朧げな音色で埋め尽くされた「Ice Cream」~「capital punishment of puke city 101」(「Neon Cemetory」とはこのpuke cityのことなんでしょうか)を経て、「Crazy About All」に至る流れがこのアルバムの肝だと思います。
Crazy About All」は篭もった音色のピアノがノスタルジックで切ないメロディを奏でるインスト曲。聴いていると廃墟を眺めているような、郷愁と不気味さを同時に喚起させられます。
その後、穏やかでポップながら気味の悪い終わり方をする「Bye Bye Neon Cemetery」の後、きらびやかなエレピとメロディでこれも既に無くなってしまったものに対する郷愁を感じさせる「Cinematic」でアルバムは穏やかに終わります。
暗いと言っても初期のような攻撃性から来る暗さではなく、ノスタルジアや生気の失ったような穏やかな静けさを表現したという点であまり他のアルバムとは似ていない個性的な作品かなと思います。

好きな曲「恋はサンダー」「WARP」「Crazy About All」「Cinematic

14th. しか

ポップで賑やかな曲が多く収められたアルバム。可愛いタイトルとジャケットからも人懐っこさを感じます。
10代の詐欺師たち」「鞍馬の小学生」「ブルーライト・グラスタンク」「My Room 1993」「Waiting More」「秘密」などメロディアスな良曲が詰まってて充実した作品だなと思います。
特に「10代の詐欺師たち」はタイトル通り青春感溢れるキラキラした名曲。美しいピアノのリフから一気に音が溢れ出てくるイントロが気持ち良すぎる。「10代最後は青春詐欺師」と嘯く言語センスも相変わらず素晴らしいです。
ブルーライト・グラスタンク」「My Room 1993」「秘密」などは前作にあった哀愁感を引き継いで更にモノにしている感じもあります。
HIKIKOMORI SONG」「パセティック血」あたりの曲は歌詞で言っていることは初期の暗い世界観の時期と似通ってるところもありますが、それでも楽曲はポップなのが作風の変遷を感じますね。

好きな曲「10代の詐欺師たち」「秘密」「しか

15th. 直樹!僕は…

超名曲「Summer」収録。僕がHASAMI groupで初めて聴いた曲にして一番好きな曲です。
ギターなのかシンセなのかわからないブッ潰れた音の壁で一気に空間を塗り替えられるようなイントロに一発で心を奪われました。
その後、HASAMI groupでは十八番の音色であることを知るのですがこの曲が最も効果的に使われているのではと思います。
そんなイントロから始まり、小節の最後で音を外すヒリついたリフ、ピアノのアルペジオと連打、Aメロで入ってくるへろっへろなボーカルの合ってるのか合ってないのかわからないメロディライン、Bメロの音の割れたコーラス、そしてサビ「少女の夏」からの裏声コーラスの異常な重ね方! 全てが美しい。
重ねて壮絶なのが「朝からビデオだ 苦いな 鋭いな」から始まる異常なセンスの歌詞。
Aメロはマジで再翻訳にでも掛けたのかってくらい意味不明な単語の羅列なんですが、何を言いたいのかが痛いほど分かってしまう。
Bメロの10代の夏ならではの感覚、そして時折挟まれる情景描写に光景をありありと想起させられる。
夏を「食べてはいけないものを食べてしまったようなそんな感じです」と表現するのは掛け値なしに天才的。「今日も暑いな」に至るまで非の打ちどころがない、素晴らしい歌詞です。
いろいろ挙げましたが、しかしこの曲で一番の立役者はやはり音割れを全く気にしない雑然として混沌としたミックスでしょう。
これらを整然とした音で鳴らされても何も響かないはずだと思う。この全ての音が割れて潰れて重なっている様こそが夏、それも10代の夏を体現している。
人気投票のコメントで「タイトルが無くてもこの曲は夏の曲だと分かる」というコメントがありましたが、自分もそう思います。
ネット音楽、アマチュアリズムという文脈から見ても生まれるべくして生まれた名曲です。
ぶっちゃけ個人的な意見だとこのアルバムはこの曲に全部持っていかれてるんですが、「新幹線」の前々作を引き継いだような穏やかなポップさと「ナイトウォーク」「冬の朝に制服で君は」の疾走感も惹かれるところです。
その他の楽曲も少年時代をテーマにした曲が多く、こちらも独特な世界観を持っているアルバムかなと思います。

好きな曲「新幹線」「ナイトウォーク」「Summer

16th. 夜行性孔雀ブート

作風的には若干初期~中期に先祖返りしたような狂気をうっすらと感じさせるアルバム。
N.B.A」の焦燥感を煽る雰囲気と途中の気持ち悪い内容の語りはそれこそ初期のアルバムにも入ってそう。
MONKEY憲法」は風刺性があるんだか無いんだか分からない歌詞を異常なテンションで捲し立てる曲。なのに何故かめちゃめちゃかっこいい。
そんな中で「近くに、私がいないよ」は独特の言語センスとそれこそアイドルソングのような可愛らしくキャッチーなメロディが耳に残る叙情的な良曲です。
窒息」も初期の陰鬱な空気感を思い起こされますが、歌詞に明確に救いを用意しているのがこれも作風の変化を感じさせるところです。

好きな曲「近くに、私がいないよ」「MONKEY憲法」「窒息

17th. Heart Wire Tapping

ロディアスな歌モノとそれ以外の曲のバランスが良く、キャッチーで個性的な曲がいくつも収められているアルバム。
イントロダクションを挟んで実質のオープナーである「PENIS THUNDER」、タイトルも歌詞もかなり終わってますがしかしメロディが妙に耳に残る良曲。
前半のハイライトとして置かれている「転校生」と「LADY」はどちらもHASAMI groupには珍しく歌詞もメロディもとてもストレートに作られている、透明感のある綺麗な曲。
それ以降も曲はネオソウル的で非常にお洒落なのに歌詞が終わっている「Afterimage of Anime」、淡々としたピアノとオルガンに謎の焦燥感を煽られる「かしこい猿」、暴力的なシンセの音に話の通じない狂人の語りが乗る「SLEEPWALKER」など強烈な個性を持つ曲が並びます。
個人的には後半に置かれた「謎の調査団」がとても好き。エレピが敷かれたメロウでお洒落なトラックの上に小気味いいフロウのラップが乗っかる曲。
「あなたは経過した時間のせいかまるでイカれたマウスみてぇだ」の気だるげなフロウと韻が非常にクールで、HASAMI groupのヒップホップ路線の曲では頭抜けているなと思います。
自分のバイオグラフィを振り返り、そして決意表明をする「やぁ、それでもやるぞ」そして感動的なストリングスの導入から始まるダンサブルなディスコチューン「I Love You」で気持ちよく締めるという構成がまた素晴らしいです。
全体通して個性だった曲がいくつも並んでいるとても充実した作品かなと思います。

追記
Bandcamp版では上の17曲ですが、初版では15曲目にフィッシュマンズのカバー「いかれたBaby」が収録されていたようです。
これがとんでもない名カバー。HASAMI groupの語法で原曲の持つ儚さが完璧に表現されている。
www.youtube.com
これを含めて流れで聴いてみると、明らかにこの曲がアルバムのクライマックスとして機能しているので印象がかなり変わると思います。

好きな曲「PENIS THUNDER」「転校生」「LADY」「SLEEPWALKERS」「謎の調査団」「I Love You

18th. アニメーションウォッチャーズ

「部屋と空」以降の作品には非常に珍しく、歌で聴かせる楽曲が「ツイソ」一曲しかないというアルバム。
ほとんどが攻撃性と勢いで聴かせる曲ということで初期~中期のあまりポップではなかった頃の作品を思い起こさせたりします。もちろんその諸作よりは全然ポップですが。
その「ツイソ」はシンセの壁で埋め尽くされた浮遊感溢れる曲。お洒落な雰囲気も感じます。
そしてラストに置かれた「防音都市」が何気にとても好きだったりします。裏声のコーラスが耳に残って離れない。
歌詞もかなりインパクト大。「龍一郎、もっとヤバい音楽を作りなさい」

好きな曲「Digital再燃」「ツイソ」「防音都市

19th. MOOD

前作からの揺り戻しか、キャリア随一にキャッチーでストレートな作風と言えそうなアルバム。
まず「PIANO」「君の街は」のメロディアスな楽曲2つから始まるという構成が今までのアルバムには無かったものです。
それ以降の曲もポップな曲が多く収められています。特に連打されるピアノに乗せて防菌を高らかに歌う「夢の泡立ち」とアイドルポップみたいな可愛さなのに歌詞が終わってる「立ちすくむ国家」が白眉。
また、「ショック情報」や「異次元」のような初期っぽい楽曲であってもあまり激しさは感じられないというか、聴きやすい音に纏められているのが特徴的。これは賛否両論ありそうですが個人的には良い変化かなと。
ただ、そんな中で終盤に置かれた「Cameraman」はこの概ねポップなアルバムの暗部を全て一身に受けているようなドス黒く気持ち悪すぎる曲。
ゲームオーバーのSEをずーっとループしてるような気持ち悪いシンセの連打にボイチェンで犯罪者みたいに低くされたボーカルも超気持ち悪いんですが、歌詞が一番ヤバい。
久々に狂人全開の歌詞なんですが、「病院にカメラマンがやってきて病気の変な顔を撮っていく」というサビの連呼が壮絶。「病気の変な顔」て。
そんな曲もありつつ、そしてラストに置かれた「景色がほしい」は個人的に「Summer」とツートップで並ぶ大名曲。これもイントロのホーンから空気を塗り替えられます。
この曲はなんといっても歌詞ですね。
「Hello Hello Hello I Don't know result of mayoral election.」という投げやりな一節から始まる歌詞で描かれる情景は人として割と終わっており、しかしどこにでもあるような光景。
そんなどうしようもなさとこんがらがった心情を抱えつつもささやかな幸福を得て、「科学と愛」を信じながら二人で生きていく、その様が本当に美しくて感動的だなと思います。
全てのフレーズが独特かつ詩情に溢れたセンテンスで素晴らしいんですが、特に「この街では犬や猫が売られてるから老後も心配ないよ」というフレーズに初めて読んだ時は大変衝撃を受けました。
極めて資本主義的な幸福を自虐するような目線でありながら、しかし優しげにそれを肯定もしている。
小市民として生きていく幸福というものをちょっと他にはない異常な切り口で肯定しているフレーズで、こんなフレーズを編み出せるなんて本当に詩作の才に溢れている方だなあと思います。

好きな曲「夢の泡立ち」「異次元」「景色がほしい

20th. DOITORA

前作に引き続き非常にポップでストレートな一枚。
まずはなんといっても前半の「Abnormal Rain」「EVERYDAY」「Recapture」というキャリア随一にメロディアスな曲が立て続けに3曲続いている流れが素晴らしいです。
Abnormal Rain」は美しいピアノとストリングスが織りなす静けさに満ちた曲。青木さんの線の細い声のボーカルも曲に合っていてとても綺麗な曲だなと思う。
EVERYDAY」は跳ねるようなリズムとピアノが中心に置かれた穏やかで心地良い曲で、サビの「愛は不変 クレイジーかな バカみたいに張り切ってしまう」のフレーズが胸を打ちます。
Recapture」はシングルにもなった渾身の一曲。混沌とした1番のAメロ、軍歌のようなBメロからドが付くほどキャッチーなサビメロに雪崩込むという展開が気持ち良い。
「何かに心動かされた時に言葉にするのではなく、ただ抱いた感情を大事にしたい」というメッセージが込められた歌詞も素晴らしいです。
後半にも「反テクノロジー」「200年後のループ」「道と記憶」のような美しいバラードが何曲も収められています。
特に「道と記憶」はHASAMI group十八番のノイズギターとピアノがしわがれたボーカルと合わさり儚げな美しさを放っている名曲です。
中盤には「インターネット向きすぎ君」「エグすぎる」「計画」など妙な曲もいつも通り入っているので安心。

好きな曲「夜風の槍」「Abnormal Rain」「EVERYDAY」「Recapture」「道と記憶

好きなアーティストのあんまり聴いてない曲を聴き返して好みな曲を発掘しようの試み(または十年間の総括)

序文(読み飛ばしてOK)

 こんにちは、蝉暮せせせです。
 このブログも今年で十周年となりまして、つまりは十年間音楽を聴いてるわけなんですが、長らく音楽を聴いていると一回聴いてそれきりになる曲とかもそれなりにあるわけです。
 一枚のアルバムを聴き込むのも相当好みの作品でないと時間的に難しくなってきたりもしてまして仕方がないことなんですが、やっぱり一回聴いてもうそれっきり、一生聴かないなんて音楽の聴き方としてどうなんだろうと思ったりするんですね。この世は音楽に溢れていて、矢継早に聴いていかねば追いつかないとしてもそれは刹那的な消費ではなかろうかと。

 というわけで、好きな/好きだったアーティストのあんまり聴いてない曲を改めて聴き返してみようと思い立って、ここ半年は昔聴いた音楽をずっと聴き返していました。
 あんまり聴いてない曲を聴き返すことで、あまり目を向けてなかったけど好みだった曲とか以前は良さが分からなかったりしたけど分かるようになった曲を発見したのは勿論、昔好きだったアーティストやアルバムにまた目を向けるきっかけとなり、なかなか実のある試みだったのではないかと思います。

 てなわけで聴き返していいなーと思った曲でSpotifyプレイリスト作ったのでそれを貼ります。

具体的に何やったの?

0. 普段foobar2000で音楽を聴いてLast.fmで再生回数を記録している
1. foobar2000のライブラリにある全ての楽曲の再生回数をLast.fmより取得
- 「foo_scrobble」を使うと便利です
- たまにLast.fmで記録できない楽曲があるので自前でも再生回数を記録してます(「foo_playback_custom」)
2. ライブラリにある全てのアルバムのうち、「再生回数1以下の楽曲」と「再生回数10以上の楽曲」がそれぞれあるアルバムを抽出
- 再生回数10以上の曲は全体の17%なので10回超えていれば好き判定だろうと判断
3. 2. から再生回数1以下の楽曲を抽出
4. 3. をシャッフル再生で全部聴く

プレイリスト

 つらつらと各曲に対する所感を書いていきます。収録アルバム・曲タイトルはSpotifyと一部異なるものもありますが持ってるやつのデータに準拠しています。

1. Bend Over Beethoven / !!! (「Myth Takes」収録)

 完全に最近良さが分かった系の曲ですね。「Myth Takes」は5年くらい前に聴いてたんですけど当時は「All My Heroes Are Weirdos」ばっかり聴いてました。最近「Must Be The Moon」の良さに気づきまして、そこから「Louden Up Now」聴いたりしたので!!!はこの試みをやろうと思ったきっかけの一因のバンドでもありますね。

2. Slowmotion / APOGEE (「夢幻タワー」収録)

 なんで今までこの曲をすっ飛ばしてたのかが分からない。「夢幻タワー」は超絶昔に聴きましたがずっとMV付きの曲ばっかり聴いてました。久々に「1,2,3」聴いたけどこれもやはり名曲だと思う。
 これガチ名曲じゃん!って思って最近の動向調べたらライブベスト出てたのも知れたのでよかった。

3. サッドマシーン / ART-SCHOOL (「Requiem for Innocence」収録)

(スタジオ版がSpotifyに無いのでライブ版を入れてます)
 イントロのコーラス掛かったギターが好き。
 特に「Requiem for Innocence」って聴き込まないと理解できないアルバムだと思う。今回聴いてやっと曲と曲名が一致したのでよかった。ババスワイナーがアイリス、ちい覚えた。

4. Winner and Loser / 勝者と敗者 / ASIAN KUNG-FU GENERATION (「Wonder Future」収録)

 「Wonder Future」は個人的に卸し難いアルバムでして、ちょっとここで離れてしまった感じはありますね。掴みどころが分からなかったというか、ジャケットも真っ白だし……。
 今回聴き返してみて、内容的には原点回帰というかUSパワーポップの影響への回帰の色が強いのかなと思いました。タイトルも英題併記だし。そう考えるとこれってシリアスな「サーフ・ブンガク・カマクラ」では?と思わなくもない。「ランドマーク」の方が数倍分かりづらいアルバムのはずなのにあっちの方が好きなのは嗜好の問題でしょうか。「踵で愛を打ち鳴らせ」、名曲……。
 曲の話全然してなかった。直線的なパワーポップなんですが、サビで拍子が変わってちょっと捻りが効くのが好みです。

5. ウダガワフライデー feat. COPTER4016882 / capsule (「CUTIE CINEMA REPLAY」収録)

「CUTIE CINEMA REPLAY」は「プラスチックガール」と「music controller (piconova-mix)」という二大名曲が入っているので名盤。と思ってて、他の曲あまり聴いてなかったんですが改めて聴いてこの曲も好きになりました。アルバムの締めに置かれてるんですが、まったりした日常がずっと続いていくような空気感があるのが良いですね。あと、サビの後半で転調するのこの頃の中田ヤスタカさんの十八番だなーって思う。

6. outdoors / cero (「WORLD RECORD」収録)

 これも今聴くことで良さが分かった系ですね。物悲しいメロディに郷愁を唆られる。
「WORLD RECORD」は多分「Obscure Ride」出る前あたりに聴いた気がするんですけど、当時は「exotic penguin night」と「大停電の夜に」しか聴いてなかったし今も完全に理解できるとは言い難い。幅広いジャンルの曲が入っていて、「My Lost City」以降に比べて良くも悪くも統一感が無く整理されていない感がある気はする。

7. ヒエログリフと遊ぶ / chouchou merged syrups. (「since」収録)

 ポストロックの範疇に入ると思うんですが、ポストハードコアっぽい勢いで押し切る感が若干あるのが好きです。
 chouchou merged syrups.はこれが入っているアルバムしか聴いたことがないんですが、「白い呼吸」がめちゃめちゃ好きですね。

8. レイズ・ユア・ハンド・トゥゲザー / CORNELIUS (「THE FIRST QUESTION AWARD」収録)

 今回聴き返して楽しかったものの一つはこのアルバム収録曲ですね。以前だったら「ラヴ・パレード」の元ネタが「Love So Fine」なのも分からなかっただろうし。

9. 人生リセットボタン / KEMU VOXX (「PANDORA VOXX complete」収録)

 世代です。
 再発見というよりは当時から好きな曲だったんですけども、改めて聴き返しても良い曲ですね。でも真っ当に好きって言えるようになったのはここ数年です。カゲプロもそう。
 音楽性を取ってみるとかなりガッツリメタルしてる曲だと思うんですけど、不思議とあんまり重くなく、さらっと流れてくのはチップチューン的なシンセと軽い打ち込みドラムと、あとなんといってもGUMIの淡白でざらついた歌声の賜物だと思います。これでハードコア系だったり歌い上げる系の女声ボーカルだったりしたら好きにならなかったと思う。

10. cqd / lical (「言ノ花束、水葬と回生」収録)

 lical、無期限活動休止してたんですね……。この「cqd」という曲が入っている「言ノ花束、水葬と回生」というアルバムはとても好きなアルバムです。ポストロック+四つ打ちという感じで10年代後半らしいバンドなんですけどメロディがどの曲も最高。この曲もサビがめっちゃ良かった。

11. Tell Your World / livetune (「Re:Dial」収録)

 livetune、大好きだったし今でも「Re:package」はずっと聴いてるんですけど聴き返して「Tell Your World」ってこんな良い曲だったっけ??って思いました。アンセムってこういう曲のことを言うんだなって……。

12. With a Billion Worldful of <3 feat. DÉ DÉ MOUSE / Mili (「Millennium Mother」収録)

 Miliの管弦楽的な側面と(多分)DÉ DÉ MOUSEによるEDM要素が合わさったと思しき曲。なにげに滅茶苦茶な曲だ……。ドロップ後に挟まるボーカルチョップのセクションがめっちゃ好きです。

13. アナタMAGIC / monobright (「monobright two」収録)

 多分monobright(→モノブライト)の代表曲といえばこれになるんだろうと思う。多分に漏れず銀魂OPでmonobrightを知ったので個人的にも思い入れがある曲。
 でもちゃんと聴いたのは初めてでして、というのも僕はmonobrightの1stがめっちゃ好きで2ndはなんとなくあまり聴いてなかったんですよね(名曲「music wonder」除いて)。改めて聴くとやっぱり良い曲だった。サビの求心力がすごいんですよね。メロディの勝利だと思う。

14. GET AWAY / NONA REEVES (「DAYDREAM PARK」収録)

 サビめっちゃ好き。これはでもしっかりサビまで聴かないと良さ分かんない系の曲だな……。あとアルバム中の配置あんまり良くない気がする、長尺セッション曲な「DAYDREAM PARK」(曲)の後だし……。
 これが入ってる「DAYDREAM PARK」ってアルバムは個人的にノーナで一番好きです。

15. Cast No Shadow / Oasis (「(What's the Story) Morning Glory?」収録)

 Oasisは「(What's the Story) Morning Glory?」しか聴いたことないです。それもほとんど「Shampagne Supernova」と「Don't Look Back in Anger」しか聴いてなかったんですが、この曲も名曲ですね。「Wonderwall」とかも入ってるしほんと名盤なんだなーと思う。

16. バックシート (Alternate Version) / OGRE YOU ASSHOLE (「confidential」収録)

 イントロのギターからもう好き。「confidential」はもう完全に「素敵な予感 (Alternate Version)」にインパクト持ってかれるアルバムなので他の曲ほとんどノータッチだった……。
 この頃(というか「100年後」と「confidential」)のリバーブが深くて憂いに満ちた音像が好きなんですよね。切ない気持ちになる。

17. Baby cruising Love / Perfume (「GAME」収録)

「GAME」も多分ちゃんと聴かないと分かんないアルバムで、ちゃんと聴いてなかったので「マカロニ」ばっかり聴いてました。「マカロニ」は名曲だと思います。
 この曲はBメロの転調がらしいなと思う。

18. Twinkle Snow Powdery Snow / Perfume (「GAME」収録)

 Perfumeの曲は「GAME」以降どんどん音がバッキバキになっていくわけですが、この曲は時系列的にはComplete Bestに近いので音がそんなに重くないというか、音にもメロディにも可愛げがある印象。サビメロも真っ当にアイドルポップな感じ。「FRUITS CLiPPER」あたりのcapsuleと地続きなこういう音とメロディが一番好きだったりします。

19. Bloods on Fire / Pinback (「Summer In Abaddon」収録)

 Pinbackはなんといっても「Summer In Abaddon」の「Non Photo-Blue」が一抜けて好きで、他の曲は完全ノータッチとはいかないまでもあんまり聴いてなかったんですが今回聴き返して「Bloods on Fire」も良いなあと思いました。サビ終わりで音抜くのが好き。

20. 億万笑者 / RADWIMPS (「絶体絶命」収録)

 結局こういう直線的なロックが好きってことですよね。Bメロの小節余る感じが好きです。

21. Every Every Every [radio radio radio mix] / ROUND TABLE (「RADIO BURNIN’」収録)

 これが入ってるアルバム(「RADIO BURNIN’」)は「1, 2, 3 for Jump」ばっかり聴いてたんですが、今回聴き返してみてなんで僕はこれを見落としてたんだ!?ってなりました。
 めっちゃオシャレでキュートな良い曲ですね。ROUND TABLEの曲で一番好きかもしれない。

22. オオカミ少年独白 feat. Cana(Sotte Bosse) / sasakure.UK (「幻実アイソーポス」収録)

23. バタフライ・エフェクト feat. ちょうちょ / sasakure.UK (「幻実アイソーポス」収録)

 これらが入ってる「幻実アイソーポス」というアルバムは個人的にかなり複雑な感情を抱いているアルバムで、というのも当時リアルタイムでこのアルバムを聴いてるんですけど、その時超絶拗らせてたんで「なんでボカロじゃなくて人に歌わせてる曲が入ってるんだ」って思って(なんでってコンセプトが「幻実」だからなんですけど)ボカロが歌ってない曲は全然聴いてないんですね。それはそれとして同時期の古川本舗「Alice in Wonderword」はバリバリ聴いてるんですが。酷い話です。
 2012年当時は千本桜があってカゲプロがあって、ボカロシーンがどんどんメジャー化していってて、でも結局ただボカロを使う必然性もなく商業的には人が歌った方が狭いシーンでちまちまやってるより絶対売れるはずなので売れた順からボカロから人間が歌う曲を作る側にシフトしていくんじゃないかと勝手に妄想してたのでそういう悲観的な偏見があって、ちゃんと聴くタイミングを逃したし長らくバイアス掛けて見てたアルバムでした。
 今改めて聴くと、「オオカミ少年独白」「突然、君が浮いた」「コイサイテハナ*」「バタフライ・エフェクト」等々素晴らしい曲が多数入ってますね。「ロストエンファウンド」「タイガーランペイジ」は今聴いても色褪せない名曲だし。
 これを当時真っ当に聴けてたら、きっと今聴いてる音楽はまた違ったものになってたんだと思います。

 今回こういう試みをしようと思った経緯には、こういった先入観があって無意識に避け続けてたり否定的な評価を下している曲に向き合おうという意図もありました。
 バイアス抜きで見てもあんま好みじゃない曲とかもあったりしましたが、このアルバムを真っ当に聴けただけでも収穫はあったんじゃないかと思います。

24. ことばさがし / Sound Schedule (「456」収録)

(スタジオ版がSpotifyに無いのでライブ版を入れてます)
 サビから始まる壮大で感動的なロックバラード、と思いきやAメロBメロはなんか殺伐してるのが面白い曲。でもやっぱ感動的な曲だなあと思う。
 Sound Scheduleは「ピーターパン・シンドローム」が大好きで皆さんも好きだと思うんですが、今回聴き返してもしかしてこのバンドって僕が思ってるより遥かに凄いバンドなのでは、と思ったりしました。

25. FREE HAND / SUPERCAR (「ANSWER」収録)

 SUPERCARはアルバム毎に全然違うんでその時その時で一番好きなアルバムが変わったりしますね。でもだいたい「JUMP UP」「Futurama」「ANSWER」の3択にはなる。過剰であれこれやってるのが好きなので……。
「ANSWER」はなんというか、不思議なアルバムですよね。僕が無知なだけなんですけどこういうタイプの音楽を他に聴いたことがない。つかこのアルバムのジャンル何……? ポストロックでいいの……?
 というわけで「ANSWER」好きなんですけど何気にこの曲はあんまり聴いてなかったんだなーという。サビのアルペジオ良いなあ。このアルバムのギターの音マジで良い。

26. イマジン / Syrup16g (「My Song」収録)

27. テイレベル / Syrup16g (「My Song」収録)

「My Song」は凄まじく濃いEPだなぁと改めて思いました。
「テイレベル」、こんなどうしようもない歌詞なんですけど「まだ言う」でメロディラインともども壮絶に浮遊していくのがなんか高尚な曲って気にさせられてすごい。
 問題は「イマジン」ですね。この曲、長らく「名曲」とされてますが個人的にはずーっとピンと来てなかったんですね。というか今でもピンと来てないと思う。凄まじい歌詞なんですよ。もう本当に後戻りの叶わない人間が「幸せはヤバいんだ」(「夢」)と歌う、その意味するところを残酷なまでに歌った曲。そんな曲にあっさりと共感してしまったらそれこそヤバいし、こんな境地なんて本当に書いた人にしか至れないんじゃないかと思う。そりゃ「こんなんでいいんだろうか そんな訳ないだろう」って思うことなんて毎日のようにありますけど、「空は空の色のまんまで人は人のまんまでそのままで美しい」なんて救いかどうかもわかんないし俗世間を超えたところに行っちゃってる気がするしそんな考え方も自分のような弱い人間にはそうそう受け入れられないし結局五十嵐さんもずっと悩んでるまんまで、つまるところSyrup16gが歌う俗世間の苦悩に対する一番残酷な答えをこの曲で一回出しちゃってるわけでそれを簡単には受け入れられないということですね。
 きっと歳取ったらもっと刺さるんだと思います。今はここまでで勘弁してください。
 この「イマジン」の後に「テイレベル」置いてるの、本当に度し難い……。

28. Midnight Down / the pillows (「RUNNERS HIGH」収録)

 割とこれも人気曲だと思うけどピンと来てなかったシリーズ。めっちゃ良い曲ですね……。勢いで駆け抜けてく3分半。

29. A Man of Great Promise / The Style Council (「Our Favourite Shop」収録)

「But you were always chained~」からのコード進行が好きです。切なくてノスタルジックな気持ちになる。

30. Across This Antheap / XTC (「Oranges & Lemons」収録)

「Black Sea」以降のXTCのアルバムに一曲は入ってる気がする民族音楽入った曲。この曲マジで展開もコード進行も捻じくれてて本当にアンディ・パートリッジって人は……って思う。急に泣きメロみたいになるのも意味わからんし。好きです。

31. 裸の太陽 / YUKI (「WAVE」収録)

 このアルバムは「長い夢」と「ふがいないや」ばっかり聴いてた(2つとも名曲)んですけどこの曲もメロディがとてもポップで好きでした。

32. あの日どこかで / カーネーション (「SUPER ZOO!」収録)

 実はこの曲、直枝政広さんのセルフカバーで一回「あんま聴いてなかったけどめっちゃ良い曲やんけ……」って気づいた曲でした。2回歌を回し終わった後のCメロ、コード進行と気だるげな歌があまりにも美しい。

33. ケムリマン / キャプテンストライダム (「BAN BAN BAN」収録)

 結局ロキノン系的な良メロのギターロックにノスタルジーを感じてしまって弱いってだけなんですよね。「君が泣いたのは煙が目に染みただけなのさ」がメロディと相まって泣ける……。ラスサビで声を張り上げるのもベタですが胸を打ってきます。
 キャプテンストライダムは1st「ブッコロリー」がマジで大好きでそれ以降はあまり触れてないって感じなんですけど「流星オールナイト」とか「恋するフレミング」はめっちゃ好きです。キャプストゼロ年代ポップロックを象徴するバンドって感じで聴くとノスタルジックかつ寂しい気持ちになります。

34. 恋わずらい / クラムボン (「ドラマチック」収録)

 今回聴き返してて「ドラマチック」もしかしてめっちゃ良いアルバムでは?と思いました。「ジョージ」「サラウンド」「レインボウ」「残暑」「便箋歌」そして「恋わずらい」が並んでるんですよ? ラストは「ララバイ サラバイ」が待ち受けてるし。いやずっと過渡期のアルバムだと思ってたわ……。
 この曲もさらっと流してたんですけどエグいですね。プロデューサー(亀田誠治氏)の貢献もあるかもしれませんが、この曲の展開の広げ方、盛り上げ方はマジですごい。月並みですけどマジでドラマチックだ。

35. ナタリー / さよならポニーテール (「魔法のメロディ」収録)

 これめっちゃ良い曲じゃないですか!? なんで見落としてたんだ……。つかこんな分かりやすく良い曲ないだろ……。ド頭にサビ来てんのに……。
 というわけでこのアルバムだと「放課後黄昏交差点」ばっかり聴いてたんですが今回聴き返して初めてこの曲の良さに気づきました。どこを取っても最高にノスタルジックなギターポップで最高。あとユニゾンにはやっぱ力があるなあと思う。

36. フラグメント / ハートバザール (「さいはて」収録)

 今回の試みで一番の掘り出し物は間違いなくこの曲でした。
 皆さんからすればこれが??って感じだと思うし、このまったりポップな普通のギターロックがどうしたんじゃいって感じだと思うんですけど、このほのぼのした感じがめっちゃ好き。無駄も無く過剰も無い。バタバタしたドラム、ポップで甘酸っぱいメロディ、ほど良く熱のあるボーカル、可愛らしいコーラス、全てが丁度いい。
 ゼロ年代初頭のギターロックバンドの良さがここに詰まっている。ここ数ヶ月はマジでこればっかり聴いてました。

37. Floating Shelter / ピノキオピー (「Obscure Questions」収録)

 ピノキオピーはガッツリ追ってるわけではないんですが、「不思議のコハナサイチ」「すろぉもぉしょん」「こどものしくみ」はすごい好きです。
 この曲は結構ピノキオピーにしては珍しい作風の曲なんじゃないかなと思う(結構あったらごめんなさい)。まずあんまりピアノが前面に出てるイメージがない。あと音を過剰に詰め込むイメージがあるんですが、割とこの曲はすっきりしてます。そんなどことなく儚げな感じのする曲。サビのコード進行好き。あんまり見ない進行だと思う。

38. Go Go Round This World! / フィッシュマンズ (「1991-1994 singles & more」収録)

 ホーンとかに当時の渋谷系っぽさを感じつつ、後のSEASONに繋がりそうな空気感もある曲(というか歌詞がそれっぽい)。

39. プレアデスルーレット / フーリンキャットマーク (「琥珀のアルテミス」収録)

 キラキラしたサビにアイドルポップっぽさを感じる曲。フーリンキャットマークはやっぱリハーモナイズというかコード進行がめっちゃ良いですね。

40. パンドラボックス / ポルカドットスティングレイ (「有頂天」収録)

 結局こういうガチャガチャしたカッティング+四つ打ちロックが好き。なんどめだ。

41. おかしな2人 / ユニコーン (「服部」収録)

 この曲も聴き直してまあまあ驚きでしたね。えっこの曲こんな良い曲だったん……?って思った。服部は「大迷惑」は勿論ですけど「パパは金持ち」「デーゲーム」「人生は上々だ」が好きで、まあまあちゃんと聴いてたと思ってたんでいかに自分がザルだったかを思い知らされました。
 基本はストレートなビートロックなんですけど、突然切なげになったりするのが不思議。そしてラストに一気にサビが来るという構成がすごい。カタルシスって感じ。

42. ユー・エフ・オー / 吉田ヨウヘイgroup (「paradise lost, it begins」)

 ずーーっとループするギターリフが中毒性高い曲。吉田ヨウヘイgroupの曲ってだいたいトリッキーなフレーズで曲を埋めてく曲作りな気がしますが、その真骨頂みたいな曲ですね。

43. サン・カムズ・アップ / 禁断の多数決 (「はじめにアイがあった」収録)

 禁断の多数決を久々に聴いた……。このバンドのコピーライティングのセンスとかはかなり好きでした。
 シンセの壁の裏で鳴る歪んだギターとか、下手なボーカルとか、「さんかむずだーん」のやる気ない言い方とか、サブカルだなぁと思う。なんだかんだ好きです。

44. 夜と明日のレコード / 空気公団 (「夜はそのまなざしの先に流れる」収録)

「夜はそのまなざしの先に流れる」、第二期以降の空気公団では断トツに好きなんですがよりによってこの曲を見落としていた。この曲でタイトルコールがされるのさえ気づいてなかった……。
 この曲はアルバムのクライマックス的な曲で、ラストに向けてゆっくり少しずつ、確実に盛り上がっていく曲。アルバム自体がそうなんですが、夜の静けさを感じさせる空気感に満ちている曲で、空気公団はやっぱり夕暮れ~夜が似合うバンドだなあと思う。空気公団が夜の曲を作ったら右に出るバンドはそうそう無いです。

45. 惑星 / 高橋徹也 (「ある種の熱」収録)

 こちらも夜の静謐さを感じさせるジャジーな曲。零れ落ちるようなピアノのタッチが印象的。「広がる景色 思考の砂漠へ」というフレーズと共に音の方にもシンセが入ってきて、一気に空間が広がっていく感覚を覚える。

46. 恋と嘘 / 赤い公園 (「熱唱サマー」収録)

 イントロからキュートでポップな曲かと思いきや結構ギターがゴツい曲。

47. サイダー / 赤い公園 (「猛烈リトミック」収録)

 疾走ロック。サビのメロディ好き。
 赤い公園は前々から好きだったんですが、改めて聴き返すとあれもこれも良い曲ばっかりですね……。

48. 赤い屋根の下で / 倉橋ヨエコ (「色々」収録)

 これ入ってるアルバム(「色々」)は「損と嘘」と「今日も雨」という倉橋ヨエコの代表曲2つが入っておりましてそればっかり聴いてたんですけどこれもめっちゃ良い曲ですね。倉橋ヨエコの真骨頂が出てる曲だと思う。
「あなたの心に折り畳みの椅子持ち込んでずっと見張ってたい 手には双眼鏡」っていういつもの依存ソングなんですけど、曲調が超ポップなのでそれが怖い。よくある「躁」って感じでもなく、ピアノ基調のバンドサウンドでそこに軽やかなフルートが入ってきたりとかして穏やか〜に進んでく曲なので末恐ろしい。声高らかに歌われる「動かないよ」「そらさないよ」ヤバ過ぎる……。
 まあでも歌詞は置いといてめっちゃ好みなメロディなので好きです(結局それ)。

49. あいあい / 倉橋ヨエコ (「色々」収録)

 イントロの勢いがすごい。シンセ盛り盛りのギターロックって感じで良くも悪くもゼロ年代後半女性シンガーっぽいアレンジなんですが、歌詞がやっぱりすごいのでアレンジと相まってかなり歪。「あなたと恋するためっにー私あいあい生まれてきました」ですからね。
 多分アレンジもわざとやってると思います。こんな言うなれば化粧盛り盛りな曲に「排水溝に流れてく無駄な努力~偽物顔だもん」という歌詞を乗せる悪意。いや悪意なのかも分からんし、無邪気なのかもしれんけど。

50. わたしは人類 / 相対性理論 (「調べる相対性理論」収録)

 この曲は完全ノータッチだったわけじゃないんですが、改めて聴いてやっぱ凄まじいし重たい曲だなあと思いました。「愛のせいにしたい」のフレーズ強すぎる。

51. 言いだせなくて / 大貫妙子 (「MIGNONNE」収録)

 シティポップ前夜、みたいなオシャレさと素朴さが入り混じってる曲。カッティングとか入りつつもシティポップ的なバキバキ感は薄くてさらっと流れてくのが好みです。特徴的な転調もあったりしますね。

52. Make Up / 米米CLUB (「KOMEGUNY」収録)

 米米CLUBはこのアルバムしか聴いたことないです、って書こうとしたけど「SORRY MUSIC ENTERTAINMENT」聴いてたわ……。
 でも今回聴き返して結構好みな曲多いなと思いました(この頃は音源では本気出してなかったっぽいですが)。80年代後半の低音が効いたファンクなポップス感が好き。

53. 柔らかいローウィン / 藍坊主 (「ハナミドリ」収録)

 この曲も掘り出し物でした。サビまではさらっと流れてく牧歌的なギターポップなんですが、サビであんまり聴かないような転調の仕方するんですよね。はっとさせられる。実験的な要素を取り入れ始めた頃の曲だと思いますが、それがかなり良い感じに作用してる気がする。

Spotifyになかった曲

54. ロードムービー / Climb The Mind (「とんちんかん」収録)

 再録の方です。トリッキーな展開や長い間奏、その全てが「全てはロードムービーのように終わるのか 悲しいね」のフレーズに帰結する瞬間のカタルシスには筆舌に尽くしがたいものがあります。

55. TRAMPOLINE GIRL / NUMBER GIRL (「OMOIDE IN MY HEAD 4 ~珍NG & RARE TRACKS~」収録)

56. KNIT / NUMBER GIRL (「OMOIDE IN MY HEAD 4 ~珍NG & RARE TRACKS~」収録)

「SAPPUKEIより初期のトランポリンガールが好き」という人をたまに見かけるんですが、最近そう言う人の気持ちが分かってきた気がします。ここには間違いなくメジャーデビュー後には無い魅力がある。音質の悪さ、演奏のバタバタしてる感じ、ボーカルのへろへろな感じ、どれもすごく魅力的だなあと思う。

57. 地球人のカラダ / the body of earthling / Serani Poji (「オチャメカン」収録)

 なんでセラニポージSpotifyに無いのかマジで理解に苦しむ。この曲はループするラウンジなトラックをバックに伸びやかに歌うメロディが美しい曲です。

58. 今日はなんだか (Live) / SUGAR BABE (「SONGS」収録)

 シュガーベイブSpotifyに無いのは分かる。しかしまあ演奏上手い……。

59. Annie / カフカ (「cinema」収録)

 カフカも結構久々に聴きました。解散しちゃいましたしね……。この曲はキラキラしたギターとキャッチーなメロディーが印象的な疾走感あるロック。

60. キノコホリック / 鉄腕トカゲ探知機 (「大快晴ストリップ」収録)

 勢いだけで突っ走る東方アレンジ。上昇してくコード進行好き。

まとめ

めっちゃ大変だったのでもう後10年はやりません。

魚にまつわる好きなバンド/曲について語る

こんにちは、蝉暮せせせです。この記事はすしすきー(旧すしすき〜) Advent Calendar 2021の4日目の記事です。

# 自己紹介

蝉暮せせせという名前で音楽作ったり文章を書いたりしている者です。

FediverseではMisskey.ioすしすきーをメインの居城としています。

「いい音楽」という好きな音楽を貼りあって共有するDiscordサーバーも運営しております。こちらはたまに招待リンクをTLに流してるので上記アカウントをチェックしておいてください(宣伝)。

# 今回の記事の趣旨

すしすきーのAdvent Calendarに参加するにあたり、自分の好きな邦楽ロックと何か絡められないかなーと考えてみたところ、バンド名が魚だったり曲名が魚だったり、魚にまつわる曲について語る記事を書けばいいのではないかと思いついたのでそういう記事を書きます。よろしくお願いします。

最初は寿司関係の曲縛りで考えようと思ったんですが、SUSHI食べたいとスシ食いねェ!しか思いつかなかったので無理でした。

# バンド名が魚

## サカナクション

サカナクションは2007年のメジャーデビューから第一線で活躍し続けている、テクノとロックをかけ合わせた感じの曲を作ってるバンドです。代表曲は「ミュージック」「新宝島」「アルクアラウンド」あたりだと思います。こないだ新曲も出ました。「魚に関係するバンドを挙げてみてください」というアンケートがあったとして一位になるのはこのバンドだと思う。アンケート取ったことないのでわかんないですけど。

詳細はWikipediaにあらかた書いてあるのでそっちを参照してください。

そんなわけでサカナクションで好きな曲3つ挙げて書いてみます。これはランキングではないのであくまで今の気分でピックアップした3曲です。

### 多分、風。

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シングル曲でアルバム「834.194」に収録されている曲です。ここ5年ほどのサカナクションのシングル曲では一番よく聴いてる。「忘れられないの」とか「蓮の花」とかも好きですがこれが一番。忙しく曲を埋めるシンセのアルペジオが醸し出してる焦燥感や、サビのメロディの高揚感がとても魅力的だと思います。

情景が浮かぶ歌詞も好き。ほとんどは素朴でわかりやすい表現で占められた歌詞なんですが、その中でちょっと異質な「誰もが忘れる畦道を静かに舐めてく風走り」の一節が輝いてると思う。限られたメロディに載せるために無駄を削ぎ落とし、伝えたい情感を最低限の言葉で表現するという点で俳句的だとすら感じる(音数的には都々逸)。こんなフレーズそうそう出てこない……。

MVもありまして(何故か貼れなかった)かっこいい。おしゃれ。

### スローモーション

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シングル「ルーキー」のカップリングです。ちなみに「ルーキー」も大好きな曲です*1

サカナクションカップリングではこれが一番好き*2。名曲です。いろんな要素がごちゃまぜで入っている曲でして、80年代エレポップ的な雰囲気あり、エレクトロニカっぽい要素あり、轟音ギターソロあり、合唱パートありと当時のサカナクションの集大成的な曲なんじゃないかと思っている。ぶっ潰れた音で掻き毟るようなギターソロがエモい! そして合唱パートの「だんだん減る だんだん減る だんだん減る未来」のフレーズは物理的な声の圧も相まって圧倒される。

MVもありまして、これがまたサカナクションのMVの中では一番好きです。キッチュでいかにもサブカルって感じのMVなんですけど、サビ前の「ててててん! ててててん!」の音ハメが気持ちいいし、なんか見終わった後は謎の感動がある。

### 開花

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1stアルバム「GO TO THE FUTURE」に入っている曲です。このアルバムは全体的に初々しさや朴訥さが漂っていてそれ含めてとても好きなアルバムです。

個人的にこれがサカナクションで一番好きな曲*3。前述の2曲とは違ってあまりシンセが使われていない楽曲で、圧の強い音(ディストーション掛かったギターとかシンセとか)が無いので聴いてて落ち着く。音の隙間が多いので楽器一個一個が耳に入ってくる感じもしますね。

優しげな音色のエレピだったりフォーキーなアコギやペダルスティールっぽさも感じるギターなどなど曲の構成要素全部が好きで、音、メロディ、演奏全部ひっくるめてただただ良い曲だなぁと思う。特に印象的なのが2:06〜の展開! リズムパターンの変化による壮絶な浮遊感。

## フィッシュマンズ

フィッシュマンズは90年代に活動していたレゲエとかダブとかの要素を取り入れた曲を作ってたロックバンドです。レゲエはともかくダブってなんじゃいって感じだと思いますがダブというのはレゲエをいろいろいじくって出来た音楽のことです。「魚に関係するバンドを挙げてみてください」というアンケートがあったとして二位になるのはこのバンドだと思う。アンケート取ったことないので略。

このバンドも詳細はWikipediaにあらかた書いてあるので参照してください。

というわけでフィッシュマンズでも好きな曲3つ挙げて書いてみます。これもランキングではないのであくまで今の気分でピックアップした3曲です。

### SEASON

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シングル曲で、オリジナルアルバムには入ってませんがベストアルバムとかで聴けます。後にこの曲のロングバージョンとして「LONG SEASON」という1曲35分のアルバムが出たりしました。どういうこと??

粒立ちの良いアコギと美しい音色のバイオリンが中心に据えられている曲で、素朴ながらもどこか浮世離れしたような超然とした雰囲気がある曲です。「GET ROUND IN THE SEASON」と繰り返し繰り返し歌われる後半のループが気持ちいい。

(以下余談)LONG SEASONはフィッシュマンズの一つの到達点である、というのは踏まえて言うと自分はこっちのシングル版の方が好きです。それはあの世界観がコンパクトな5分間のポップソングに収まっているという事実が好きだから、って言うとかっこいいんですけど実のところはイントロのオルガンのフレーズが大好きでLONG SEASONだとオミットされているからという理由に尽きる。あのオルガンのフレーズが入ってきてバイオリンが立ち上がってくる瞬間は邦楽屈指の美しい瞬間だと思っている。あとLONG SEASONの真価はライブじゃないと分からないんじゃないかと思ってて、ライブを生で一度でも観てれば違うんだろうけど不可能なので……。

### 100ミリちょっとの

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シングル曲で2ndアルバム「KING MASTER GEORGE」に収録されている曲です。このアルバムには他にもキャリアに残る名曲「教育」も収録されています。

フィッシュマンズというバンドは一般的に活動後期が評価されていますが、後期になるにつれ一曲一曲が重くなっていく(そりゃ35分の曲作るくらいですし)傾向にあります。もちろんそれらの曲はどれも素晴らしいものばかりなんですが、その壮絶な世界観に息がつまるところもあったりするので(特に「宇宙 日本 世田谷」はかなりエネルギーを使う)、後期の曲を聴いてるとたまに初期〜中期の軽めの曲が恋しくなったりします。

これは初期フィッシュマンズの代表曲の一つで、気が抜けていてゆるいながらも曲の完成度がとても高い素晴らしい曲。サビに相当するパートが2パターンあるという何気に贅沢な曲だったりする。

ドラマ主題歌にもなった曲でして、それも相まって90年代前半という時代の雰囲気を色濃く持っているように思う。人によっては古臭いとも取られる曲かもしれませんが、ノスタルジックな感じが刺さる人は居るはず。

### MELODY

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シングル曲で4thアルバム「ORANGE」に別バージョンで収録されている曲です。上に貼ってあるのはシングル版です。

HAKASEさんによるピアノが弾けまくってる超絶ポップな曲。多分フィッシュマンズで一番キャッチーな曲だと思う。聴いていただけると分かる通りとても元気で楽しげな曲*4なんですが、歌詞が不穏。「すぐに終わる幸せさ すぐに終わる喜びさ なんでこんなに悲しいんだろう」とは……。

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この曲はシングル版聴いた後にライブ版も聴いてほしい。全然違うじゃねえか……!

このMELODYという曲はシングル版だととてもポップなアレンジを施されている曲なんですが、アルバム「ORANGE」版だと歌詞を体現するかのようになんか不穏な雰囲気に変わっているというバージョン違いがある曲です。このライブ版もアルバム版を下敷きにしており、ちょっとどんよりした感じの雰囲気が漂っています。その雰囲気が好き。もはやピアノの影も形もなくなり、その代わりに線の細いオルガンで空間が埋められることによって醸し出される寂寥感。

(以下余談)まああとこの曲が好きなのは「男達の別れ」のDisc 1の最後がこれだから、っていう思い入れ的な部分もありますね。もちろんこのアルバムの最後の最後には「LONG SEASON」が置かれてるわけですけど、憂いと寂しさに満ちた空気感も相まってこの曲がバンドのエンドロールのような気がしてしまう。


# 曲名が魚

あとは曲名が魚のやつです。

## 海と山椒魚 / 米津玄師

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みんな大好き米津玄師さんの曲です。
和風でけだるいメロディが5分間延々と続く様は非常に夏の炎天下っぽいです。

## さかな暮らし / コンテンポラリーな生活

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コンテンポラリーな生活はネクライトーキーの曲書いてる朝日廉さんの別バンドです。
まったりミディアムテンポのギターロックな曲。「こっちへおいで」の優しさが沁みます。

## 歌舞いた魚ディスコ / monobright

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曲名に魚って付いてるだけでそんなに魚関係ない一曲。
この頃のmonobrightは転調しまくりの奇妙なコード進行でキャッチーなギターロックを作るという離れ業を成し遂げていてすごい。

## タコ物語 / ゆらゆら帝国

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タコが主人公の曲。
ほのぼのとした情景が繰り広げられる楽しげな曲です。

# エンゼルフィッシュ / the pillows

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the pillowsが今よりアウイエではなかった頃の一曲。
美しいメロディにオシャレな演奏というところで今のthe pillowsとは違った良さがある曲だと思います。

# おわり

あとはcali≠gari「マグロ」パイロットフィッシュ」、進行方向別通行区分の「海の王者シャチ」「真・海の王者タコ」などが思い浮かんだんですがサブスクになかったので割愛しました。

っていうか「魚」全体はともかく特定の魚をテーマにした曲が全然浮かばなくて困った。ロックバンドはもっと寿司の曲を作れ。

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今回出した曲と、今回出してない魚絡みの好きな曲を集めたプレイリストです。サカナクションフィッシュマンズも今回出してない曲を入れました。

# 宣伝

自分も音楽を作っております。ベスト版的なのがあるので聴いてみていただけるとありがたいです。出来れば今後の活動もcheck it out

# 次回

次回のすしすきーAdvent Calendarは明日のmtiiさんの「狛犬」です。まだまだアドベントカレンダー募集してる(と思う)ので入れて書こうぜ!

*1:「ルーキー」は緊張と緩和を繰り返すシンセ、人力ドラムンベース的なドラム、そしてちょいちょい挟まってくるギターが大変かっこいい曲。「さよならはエモーション」でギターロックと訣別する前の、エモーショナルなギターロックバンドとしてのサカナクションがここに居る……(今もエモーショナルだとは思うけど当時に比べたらロック成分は減少した気がする、と思ってたけど新曲はガッツリロックバンドしてた)

*2:Ame (A)ともどかしい日々も好き……。

*3:2番目に好きなのは「夜の東側」

*4:実はこの曲の楽しい成分はピアノリフが一手に担っており、その証左にピアノが引っ込んだアルバム版は後述の通りかなり不穏な雰囲気に変わっています